NVIDIAは3月19日、GeForce GTXシリーズのGPUでもDirectX Raytracingをサポートすると発表した。4月に登場予定のドライバから、RTコアを搭載しないGPUでもリアルレイトレーシングが利用できるという。

リアルタイムレイトレーシング向けのAPIであるDirectX Raytracingを利用するには、Windows 10 October 2018 Update(1809)と「DirectX RaytracingをサポートするGPU」が必要となる。

これまで「DirectX RaytracingをサポートするGPU」としては、リアルタイムレイトレーシング向けの処理を行うRTコアを実装した、NVIDIAの「RTX」シリーズのみにとどまっていた。

今回は発表は、RTコアを搭載しないGPUまで、DirectX Raytracingのサポートを広げるということだ。新たに対象となるのは、NVIDIA GeForce GTX 1060 6GB以上のPascal GPU、TuringアーキテクチャながらもRTコアを搭載していなかったNVIDIA GeForce GTX 16シリーズ、Volta世代のTITAN Vだ。

  • 対応GPU。Pascal世代、Volta世代、Turing世代でもRTコアを搭載しないGPUが加わった

これによって、多くのゲーミングPCなどでリアルタイムレイトレーシングが利用できるようになり、ゲーマーにとっても開発者にとってもメリットが生じる。

一方で、NVIDIAによるとRTXとGTXシリーズで、同じようにレイトレーシングを処理できるわけではないという。GTXシリーズでのリアルタイムレイトレーシングは、複雑あるいは複数のエフェクトには対応できないだけでなく、投射できる光線の数が少ないという。

また、RTコアやTensorコアを持たないGPUは、すべてシェーダで処理を行うため、時間がかかる。Turing世代ではFP32とINT32の同時実行が可能なため、いくらか効率が上がるが、それでもRTコアやTensorコアに処理をオフロードした場合とは比べ物にならない。

  • PascalとRTコア/Tensorコアを処理に使わない場合、RTコア/Tensorコアを使う場合の比較。RTコア/Tensorコアを使った方が圧倒的に高速だ

NVIDIAが公開した性能比較によると、Pascal世代のGPUとTuring RTX(+RTコア、DLSS有効)を比べると、METRO EXODUSで3倍、SHADOW OF THE TOMB RAIDER で2倍、BATTLEFIELD Vで1.6倍の性能向上を実現するという。

  • METRO EXODUSでの性能比較

  • SHADOW OF THE TOMB RAIDERでの性能比較

  • BATTLEFIELD Vでの性能比較

GTXシリーズではベーシックな体験、RTXではよりよい体験という位置付けで、ある意味G-SYNC CompatibleとG-SYNCと同じような形になっているようだ。

なお、NVIDIAはゲームエンジンのUnreal EngineとUnityが、レイトレーシングのサポートを行うことを合わせて発表しており、さらにリアルタイムレイトレーシングのプラットフォームが加速するとしている。