ソニーモバイルは2月25日、MWC19 Barcelona開幕に合わせて、最新フラッグシップスマートフォン「Xperia 1」を発表しました。
今回、MWC19 Barcelona会場のソニーモバイルブースで、ソニーモバイルコミュニケーションズ 商品企画部門の部門長を務めている田嶋知一氏に、Xperia 1開発に関するお話を伺ったので、その様子を紹介します。
コンセプトは「好きを極めたい人々に」
田嶋氏は、2006年に当時のソニーエリクソンで商品企画部統括部長に就任し、その後ソニーエリクソン初のAndroid端末「Xperia X10」を担当。Xperia ArcやNX、Zシリーズ、Xシリーズ、XZシリーズと、現在まで10年にわたってXperiaに関わってきました。
そんな田嶋氏は、Xperia 1の開発に込めた想いを、「1から始まるXperia 1、1から生まれ変わるXperia 1」と語ります。
「『好きを極めたい人々に、想像を超えたエクスペリエンスを』というコンセプトを設定して、突き抜けた、尖った商品と体験を提供するべく開発しました」(田嶋氏)。その上で、フラッグシップをXperia 1、ミッドレンジをXperia 10として、1から10までをソニーモバイルが戦うコアのゾーンとして定め、そのゾーンの中でキーとなる商品を導入してシリーズ化していこうと考えているそうです。
ソニー全社のエンジニアがXperiaに集結
そのXperia 1で最も重視したのが、コンテンツだそうです。「ソニーには、コンテンツを作る技術、コンテンツを楽しむ技術、コンテンツそのものを持っています。
そこで今回は、”コンテンツの体験”に力を集中して、そこを価値にした商品に仕上げることにソニーの力を集中しました」と田嶋氏は語りました。これを実現するため、ソニー全社での議論を通してたどり着いたのが「21:9シネマワイド体験」だったそうです。
田嶋氏は「16:9から、最高峰かつ最先端のシネマコンテンツを楽しめる21:9に一気に飛びたかった」と語ります。シネマの体験をモバイルに取り込み、シネマのようにコンテンツを作り、映画館で見るようにシネマのコンテンツをモバイルで楽しむ。これがXperia 1の軸と考えて、開発が行われました。
その開発には、「α」シリーズのカメラエンジニア、「ブラビア」の映像エンジニア、オーディオの音響エンジニアなど、ソニーの各部門のエンジニアが集結したといいます。
実際にαとXperiaのカメラエンジニアが1つのチームを作って、世界初の瞳AFに対応するトリプルレンズカメラが作られたり、ブラビアのエンジニアとともにブラビアの技術の粋が入った世界初の4K有機ELディスプレイが作られたのだそうです。
プロ用映像機器の技術を取り入れる
そして、さらにもう一歩踏み込んだのが、ソニーのプロ用映像機器のテクノロジーを注入する、というものです。
「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」を撮影するために開発されたデジタルシネマカメラ「F900」や、2020年公開予定の映画「アバター2」で使われる最新シネマカメラ「VENICE」の開発チームと協力して、プロのエッセンスをXperia 1に注ぎ込まれているといいます。
そのひとつが「クリエイターモード」。価格が400万円以上にもなるマスターモニターのカラーマネージメント技術を応用して、BT2020の色域と10bit相当の階調を実現しているそうです。また、VENICEと同じUIや操作性を実現し、12:9、24fpsというシネマフォーマットで、映画同等の色味や情感を再現する機能を盛り込んだ動画撮影機能「シネマプロ」も用意されています。
その他にもサウンドエンジニアによるチューニングや、シネマ製作現場などで活躍している映像エンジニアによる目視によるクオリティの確認も行っているそうです。「好きを極めたい人々の好奇心を刺激して、彼らがクリエイティビティーを覚醒できるような商品に仕上がったのではないかと思っています」と田嶋氏は胸を張りました。