NTTドコモは17日、都内で2018~2019冬春に発売するスマートフォン新製品の発表会を開催した。合計11機種もの発表があったが、スマートフォン全勢だったこれまでのラインナップとは異なる潮流も見え始めた。発表会場で触れた新機種のうち、まずは注目の注目のカードケータイとワンナンバーフォンについてインプレッションをお届けしよう。
今回の発表で最も注目されるのが、ジャスト名刺サイズの薄型・コンパクトな端末「カードケータイ」と、既存のスマートフォンを「親機」にして、音声通話専用の「子機」としてふるまう「ワンナンバーフォン」だ。いずれも基本機能は音声通話を前提としており、これまでガラケーから移行してこなかった通話中心のユーザーをターゲットとしている。
「カードケータイ」は名刺サイズの47g! VoLTE、LTEにテザリングも対応
ドコモが「4G端末で世界最薄、最軽量」をうたう京セラ製の端末。液晶ではなくモノクロの電子ペーパーディスプレイ(2.8インチ)を採用しているのが特徴だ。
サイズはほぼ名刺大で、同じくカードサイズを売りにする4G端末としてはフューチャーモデルの「NichePhone-S 4G」があるが、NichePhone-S 4Gが厚み9mm、重さ52gで物理ボタンがある端末なのに対し、カードケータイはタッチパネル操作で、厚さは5.3mm、重さは47gしかない。ちなみに3G時代のNiche-Phone-Sは重さ38gだったので、カードケータイは「4G端末で世界最軽量」を謳っている。
タッチパネル操作で物理キーがないため、外見は小さいスマートフォンという印象だし、通信もLTEでVoLTE対応なのだが、ドコモ側の区分と料金体系はケータイ(ガラケー)扱いとなる。現物を手に取ってみると驚くほど軽いが、剛性はしっかりしているので、頼りなさはさほど感じない。とはいえ、ヘビーデューティー端末というわけではないので、尻ポケットに入れて踏み潰さないよう気をつけたい。
電子ペーパーは書き換え時のみ電力を要するデバイスで、一度表示してしまえばほとんど消費電力ゼロなこと、紙に極めて近い表示特性を持ち、目に優しい点が特徴。タッチ操作に対応しており、スワイプ(フリック入力)で文字入力もできるが、キー部分がちょっと小さめなので、iPhoneのつもりで入力すると誤入力が多かった。
通話に特化しているとは書いたが、メールやショートメール(SMS/MMS)、Webブラウザまでも搭載している。ブラウザの表示は短時間しか試せなかったが、画像等はモノクロ二値+ディザリングで表現するようだ。なお、カメラは搭載していない。
とにかく薄くて軽くシンプル。2台目用途やガラケーからの乗り換えもアリ
使用するOSは非公表とのことだったが、カーネルのバージョンを見る限りLinuxベース(Linux 3.18系)であり、Androidベースの可能性も捨てきれない。ただし、どのみちユーザーによるアプリの追加等はできないようなので、あまり気にする必要はないだろう。
とにかく薄くて軽くシンプルなので、最近の大きなスマートフォンに辟易している層には強く訴求しそうだ。
実勢価格が1万円程度になるということなので、スマホと合わせての2台目需要や、ガラケーからの乗り換えもカバーできそうだ。カメラがないこともあり、セキュリティを重視するビジネス用途にも向いている。
ただし、いくら消費電力が小さな電子ペーパーを採用していても、バッテリー容量も小さいため、連続待受時間は100時間、連続通話は110分と、電池性能はガラケーの数分の一程度だ。幸いMicroUSBポートで充電できるので、スマホぶんと合わせてモバイルバッテリーを携行したい。
ちなみに、ドコモ2018-19冬春モデルでMicroUSBを採用しているのはこのカードケータイとワンナンバーフォン、折りたたみ式のAQUOSケータイのみ。あとはすべてUSB Type-Cに移行している。
なお、本機もSIMロック解除に対応しているとのことなので、MVNOでの利用なども視野に入れて、かなりの人気商品になることが予想される。この秋冬の要注目端末であることは間違いないだろう。