続いて音質やノイズキャンセリングの効果にも注目しながら、新旧モデルの違いに深く切り込んでみましょう。
ソニーでは特に、独自開発のノイズキャンセリング機能について「オーディオグレード」の高いレベルを意識しながら開発しています。ノイズキャンセリング機能をONに切り替えたとき、耳の奥に何かものを詰め込まれるような独特な不快感がないことや、音楽再生に不自然な“こもり”や窮屈さが感じられないところは、さすがソニーの1000Xシリーズです。パッケージに付属するケーブルをつなげば(有線で使用)、ハイレゾ音源もそのままの音質で聴けます。
Bluetoothのオーディオコーデックは、音質を重視した上位技術のLDACとaptX HD、さらにaptXとAACもサポートしています。どんなスマホやプレーヤーが相手であっても、ベストな音楽再生のパフォーマンスを引き出せるヘッドホンです。
ボーカル系の楽曲を聴くと、XM3のほうが声の質感がより滑らかで、きめ細かく感じられます。低音はすっとスムーズに沈み込むようになりました。歪みっぽさも一段と少なくなって、音の立ち上がり・立ち下がりが自然に感じられるぶん、生の演奏に近づいた印象です。飲み口がすっきりとしていて、口の中でふくよかな味わいが広がる日本酒のようなイメージです。
SpotifyやApple Musicなど音楽配信系のソースを聴くときには、専用アプリの設定からハイレゾ相当の高音質にアップコンバートしてくれる、「DSEE HX」をオンにしてみても良いでしょう。大編成のジャズやクラシックの演奏は中低域の土台がどっしりとしてきて、奥行きの見晴らしが一段と良くなります。高域の艶っぽさにも磨きがかかります。
今回筆者が使ったXperia XZ2のように、Android 8.0以降のOSを搭載するスマートフォンの中には、システム設定の開発者向けオプションを開いてからBluetoothオーディオコーデックを選択して、LDACやaptX HDに切り替えられる端末があります。
XM3とXM2はどちらもLDACとaptX HDの両方に対応しているので、それぞれ音の違いを聴き比べて楽しむことができます。Bluetoothの通信環境が良い場所が確保できたら、アプリの音質モードは「音質優先モード」を選択して聴くことをおすすめします。