説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『「すべてのCookieをブロック」するとどうなりますか?』という質問に答えます。

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Safariの設定に関する質問ですね。結論からいうと、「すべてのCookieをブロック」はお勧めできません。なぜなら、セキュリティ/プライバシー保護の点では特段メリットが得られないにもかかわらず、WEBブラウザとしての利便性が大きく損なわれるからです。

Cookie(クッキー)とは、WEBサーバが接続してきたWEBブラウザに情報を一時保存するしくみのことで、ほとんどのWEBブラウザがサポートしています。IPアドレスなどログイン時の情報を記録して次回のログインを自動化するといった目的で作られた技術ですが、サイトのアクセス履歴などユーザの追跡に応用できる機能も含まれていることから、インターネット広告には欠くことのできない存在となっています。

そのCookieは、「ファーストパーティー」と「サードパーティー」の大きく2種類に分類できます。大まかにいうと、前者は訪問先のWEBサーバから直接送信されるもので、後者は関係のあるWEBサーバ(訪問先のサイトに広告を配信しているWEBサーバなど)から送信されるものです。

すべてのCookieをブロックすると、サードパーティーCookieのみならずファーストパーティーCookieまで使用できなくなります。サードパーティーCookieがなくても困ることはありませんが、ファーストパーティーCookieはログインの情報を保持したり買い物カゴの情報を記録したりする場面で必要になるため、使えないとかなり不便を感じることでしょう。

なお、iOS 11のSafariには、サードパーティーCookieの有効期限をごく短く設定する「Intelligent Tracking Prevention(ITP)」という新機能が用意されています。これによりサードパーティーCookieを利用したユーザ行動の追跡は大幅に制限されていますから、プライバシーを気にしてCookieをブロックしようというのであれば、今後はそれほど心配する必要はなさそうです。

  • すべてのCookieをブロックすると、オンラインショッピングやサイトのログインが不便になります