なお、今回の発表に合わせ、VMware Cloud on AWSの価格も改定した。最小構成は3ホストから利用可能で、期間限定で3ホスト構成のSDDC環境を、2ホスト構成相当の価格で提供するという。同社は「従来のエントリー価格の50%で導入可能」だとしている。

また、CPUコア数のカウント手法も改定し、顧客が必要なCPUコア数を指定できようにした。これにより、CPUコア単位でライセンスされる、ミッションクリティカルアプリケーションの稼働コストを削減できるようになるという。

さらに、マネージド型リレーショナルデータベースサービスである「Amazon RDS」を、VMware vSphere上で提供するサービス「Amazon Relational Database Service(RDS)on VMware」も発表した。データベースエンジンは「Amazon Aurora」「MySQL」「MariaDB」「Oracle」「Microsoft SQL Server」「PostgreSQL」をサポートする。

Jassy氏は「これにより、RDSのあらゆる機能をVMwareの顧客に提供できるようになる。現在、多くの企業がハイブリッドモードで稼働している。かれらの要望は『データベースをオンプレミス環境で管理したい』というものだ。Amazon RDS on VMwareを利用すれば、顧客はオンプレミス/パブリッククラウドを問わず、同一の操作性でデータベース管理できる」と、そのメリットを強調した。なお、提供開始時期は「今後数カ月以内」(Gelsinger氏)とのことだ。

エッジコンピューティング強化で64ビットARM対応も

今回の基調講演では、さまざまな製品分野においてアップデートが発表された。

クラウド分野では、マルチクラウド管理ソリューションを提供する米CloudHealth Technologiesを買収すると発表した。すでに両者は最終合意に達しているという。

CloudHealth Technologiesは、グローバルで3000以上の顧客を擁する、マルチクラウド事業ベンダーである。「AWS」「Microsoft Azure」「Google Cloud」の管理プラットフォームを提供している。ユーザーは同社の管理ソリューションを通じ、クラウドのコスト、使用状況、セキュリティ、パフォーマンスを一元的に分析/管理できる。なお、買収金額は明らかにされていない。

セキュリティの分野では、2017年に発表した仮想環境/クラウド環境で稼働するアプリケーションを保護する「VMware AppDefense」を、「VMware vSphere」に組込み、「VMware vSphere Platinum」エディションとして提供することが発表された(日本では未発売。Gelsinger氏は「脅威を追いかけて封じ込めるのではく、インフラを構成するすべての製品にセキュリティを組み込み、攻撃可能な“表面積”を減らすことが重要である。それを実現するのがAppDefenseだ」とコメントした)。

  • 「VMware vSphere Platinum」の概念図。ただし日本では「VMware AppDefense」自体が未発売となっている

デバイス分野では、アプリケーションの互換性などを確認し、データ駆動型の管理を実現する「Workspace ONE Intelligence」を発表した。Dellとの協業により、Workspace ONEをプリインストールしたPC「Dell Ready Solution」も発売されるとのことだ。

エッジコンピューティングの分野では、ハイパーバイザーの「VMware ESXi」をエッジコンピューティング向け「64ビットARM for Edge」に対応させた。超低消費電力のARMプロセッサは、IoT(Internet of Thing)デバイスや、スマートシティを構成する風力発電機や、屋外での稼働が前提の監視カメラなどで多用される。同社によると、今後は特定の組み込みOEMベンダーと協力し、ARM対応の製品を幅広く提供していくという。

  • 基調講演後半で紹介された「VMware ESXi」の「64-bit ARM」への対応。VMwareはエッジコンピューティングに注力していく姿勢を鮮明にしている

さらに、基調講演ではSDDC環境を中央データセンターからエッジコンピューティングまで同じように利用できる「Project Dimension」や、機械学習でデータセンター全体の運用を最適化する「Project Magna」、ブロックチェーンを活用した分散型インフラストラクチャを構築する「Project Concord」といった取り組みやコンセプトも発表された。こちらは追って詳説したい。