イメージセンサー(撮像素子)の開発や製造を手がけるソニーは7月23日、スマートフォン向けのCMOSセンサーの新製品「IMX586」を商品化したと発表した。有効画素数は4,800万画素と高画素で、画像サイズは8,000×6,000ドットにもなる。隣接する4つの画素の情報を加算して1つの画素として使うことで高感度画質を高める機能も備えた。明るい日中も薄暗い室内や夜景もきれいに撮れるよう工夫し、スマホカメラはさらなる画質向上が図られそうだ。

サンプル出荷は今年9月の予定。各スマホメーカーは、サンプル品を入手してからスマホの開発を進めることになるので、このCMOSセンサーを搭載したスマホが発売されるのは来年の春~夏以降になるとみられる。

  • ソニーが発表した新しいスマホ向けCMOSセンサー。有効画素数は4,800万画素と、高性能一眼レフに匹敵する水準だ

IMX586は4,800万画素と高画素ながら、集光効率や光電変換効率を高める設計としたことで、感度や画質の低下を防げるようにした。画素数が多いことを利用し、光学ズーム機能のないスマホでもクロップ(画像の切り出し)によるデジタルズームが実用的にできることをうたう。露光制御や信号処理などの機能をイメージセンサーに内蔵することで、ダイナミックレンジを従来の4倍に高め、白飛びや黒つぶれを抑えられるようにした。

  • 現在スマホカメラで一般的な1,200万画素の写真と比べると、精細感の高さは圧倒的だ

IMX586で特徴的なのが、隣接する4つの画素が同色のカラーフィルターになっていること。夜間や室内など明るさが少ない状況では、隣接する4つの画素の情報を加算して1つの画素の情報とすることで、画素数を有効1,200万画素に落としつつもノイズが少なく明るい写真が動画が撮れるようにした。

  • 薄暗い状況では4つの画素の情報を加算して1つの画素として利用する仕組みになっている