ピュア・ストレージ・ジャパンは7月13日、都内で記者会見を開き、NVMeとAIに対応した新たなデータセントリックアーキテクチャ、およびデータセントリックソリューションを発表した。

冒頭、米Pure Storage 戦略部門副社長のマット・キックスモーラー氏は「データを最大限に活用するためには、アーキテクチャの中心にデータを置かなければならない。しかし、これまでのITインフラはプロジェクトごとに拡張してきた経緯があり、さまざまなデータが分散している状態のため統合することができていない」と指摘する。

  • 米Pure Storage 戦略部門副社長のマット・キックスモーラー氏

    米Pure Storage 戦略部門副社長のマット・キックスモーラー氏

同社が提唱するデータセントリックアーキテクチャは、分散したデータを一元化し、最大限に活用するほか、フラッシュ技術を用いてリアルタイムにデータアクセスすることを可能としている。また、クラウドでデータを活用することで、開発者またはデータを活用する人の効率性向上が見込めるという。

そこで今回、同社ではデータセントリックアーキテクチャに準じたソリューションとして、新しい「FlashArray//X」「Everegreen Storage Service(ES2)」「AIRI mini」を発表した。

NVMe対応のオールフラッシュアレイ

NVMeに対応したFlashArray//Xはすでに昨年4月に発表しているが、従来の「FlashArray//M」シリーズを統合し、共有型高速ストレージとして、エントリー構成の「FlashArray//X10」「FlashArray//20」、パフォーマンスとスケーリング構成の「FlashArray//50」「FlashArray//70」「FlashArray//90」の5機種に刷新。

  • NVMe対応の5機種に刷新

    NVMe対応の5機種に刷新

これまでストレージアーキテクチャは、ネットワーク接続(SAN/NAS)と直接接続(DAS)の2種類の接続タイプがあり、SAN/NASはミッションクリティカル、DASはクラウドと別々の用途で利用されてきた。しかし昨今、企業では両方の接続タイプを使う必要性に迫られている。

NVMeにより、並列化処理が可能となっており、ネットワーク上のストレージ、またはサーバ内のストレージでも同じパフォーマンスを遂行できる。これは、並列のアーキテクチャ、つまりエンドツーエンドですべてを並列化し、SAN/NASとDASをつなぐことを可能とし、ネットワークアーキテクチャを統合するだけでなく、パフォーマンスも両方の接続タイプのメリットを活かせるという。

キックスモーラー氏は「これまでは別々に使われるアプリケーションごとにストレージが設定されていたが、われわれの技術を活用すれば、すべてのサーバを一元化し、アプリケーションやVM、ベアメタルなど、さまざまな運用ができる」と、強調した。

  • SAN/NASとDAつなぐことを可能とした

    SAN/NASとDAつなぐことを可能とした

そして「従来、競合他社は共有型高速ストレージに関してハイエンドかつ一部の業界でしか使えないと位置づけていたが、われわれは共有型高速ストレージが主流となり、多くのデータセンターで標準化されていくと考えている」と、同氏は述べた。

6Uの筐体で論理実容量は最大3PB(FlashArray//90の場合)となり、SSDを使わずに直接ローフラッシュにソフトウェアを接続することでパフォーマンスの向上を図っている。

前世代のオールフラッシュアレイと比較し、2倍の高速性を持ち、レイテンシは250μ/秒を達成している。データベース、仮想環境、テスト/開発イニシアチブ、Webスケールのアプリケーションなどを対象にFlashArray//M以上の追加コストなしで実効容量に応じて移行を可能にしている。

  • 「FlashArray//X」の概要

    「FlashArray//X」の概要

Evergreen Storage Service - クラウドに対応

ES2は、クラウド型のアプローチをオンプレミスのストレージに適用することで、フォークリフトアップグレードや計画的なダウンタイムの必要をなくし、変動するキャパシティ要件に対応することが可能になるという。

キックスモーラー氏は「顧客からストレージもクラウドのように従量課金制にしてほしい、という声が多かった」という。

ES2の利用により、クラウドベースの従量課金制でストレージを利用でき、企業はシステムを停止せず、数日で運用開始を可能とし、Tier1向けのエンタープライズグレードの機能を備えており、スケーラブルなオンプレミス型のソリューションとして提供。契約条件は、最短12カ月から利用可能であり、基本契約の有効ストレージは最低100TB(GBごとの使用)となる。

  • 「Evergreen Storage Service(ES2)」の概要

    「Evergreen Storage Service(ES2)」の概要

また、同氏は「クラウドの1つの要件として、すべてのものを自動化するということがあり、われわれでもストレージに自動化を取り入れている。VMwareやRedhatなどのコンテナを自動化しているほか、Python、ServiceNow、PuppetをはじめRestAPIにも適用している。そして、近年ではコンテナの普及が目覚しく、状態が常に変化するためストレージ分野にも影響を与えている。ストレージ管理者は1日あたり5~10回ほど調整を行うが、コンテナの場合では同数百~数千のコンテナが出入りする」と、説く。

そこで同社では「Pure Servive Orchestrator」を提供する。これは、コンテナをストレージオンデマンドで提供するものとなり、ダウンタイムなく、すべてのものをコンテナとして自動化できるという。

  • 「Pure Servive Orchestrator」の概要

    「Pure Servive Orchestrator」の概要

AIに対応する「AIRI Mini」

AIについて、キックスモーラー氏は「データの価値を大きく変えており、価値のないデータを捨てるのではなく、データを保存すればするほど価値が出る。AIを普及していく上で2つのボトルネックがあり、1つ目はデータサイエンティストの不足、2つ目はAIのインフラを設定するのが複雑でコストがかかるということだ」との認識を示す。

これらのボトルネックを解決するために今年4月にAIRIを発表したが、フットプリントを小さくしたいという要望を受け、今回AIRI Miniの提供を開始する。

AIRI Miniには、最新の分析およびAI用に設計されたFlashBladeが採用されており、7x17TBのブレードと2台のNVIDIA DGX-1サーバで構成され、2ぺタFLOPSを実現。これらのシステムは100GbEのスイッチで相互接続され、GPUDirect RDMAに対応している。

さらに、GPU性能を最大化するNVIDIA GPU Cloudの深層学習ソフトウェアスタック、およびDGX-1とFlashBladeによるマルチノードのトレーニングを最適化するピュア・ストレージAIRI Scaling Toolkitを利用。これにより、データサイエンティストは数週間や数カ月単位ではなく、数時間でAIへの取り組みを開始できるという。

  • 「AIRI Mini」の概要

    「AIRI Mini」の概要