ソニーは9日、ディープラーニング(深層学習)のプログラムを生成できる統合開発環境「コンソールソフトウェア:Neural Network Console」のクラウドサービスで、複数GPUによる高速学習サービスの提供を開始したことを発表した。

  • 今回新たに提供する高速学習サービス

    今回新たに提供する高速学習サービス

2017年8月に無償提供を開始したコンソールソフトウェア「Neural Network Console」は、Windowsのみに対応していた。一方で、同年11月よりオープンβ版の提供を開始したクラウドサービスでは、ネットワーク接続環境下においてWebブラウザでアクセスすることにより、OSにとらわれることなく、macOSやLinuxでも「Neural Network Console」を利用できる。

これにより、プログラムエンジニアやデザイナーは、PCへのインストール作業をすることなく、Webブラウザでアクセスするだけで本格的なGUIを持つディープラーニング統合開発環境であるコンソールソフトウェアを利用でき、直感的なユーザーインターフェースで、ニューラルネットワークの設計、学習、評価などを柔軟、かつ効率的に行いながらディープラーニングのプログラムを開発し、各種製品やサービスに搭載できる。

今回、新たに提供する高速学習サービスは、より大規模な学習の実行や複数のプロジェクトの学習を同時に進行させたいユーザ向けに提供するもので、柔軟なオプションの中から最高で8台のGPUを用いた学習まで選択できる。

これまで無償のオープンベータ版では、1アカウントあたり、10時間のCPU学習、10GBのストレージ、10のプロジェクトという制約があったが、今回、ニーズに応じて高速なGPUや、さらにそれを複数用いた学習から柔軟に選択できるメニューが用意された。新たに提供されるGPUを用いた学習では、CPUでの学習と比較してほとんどのニューラルネットワークで10倍以上、ニューラルネットワークによっては100倍以上高速に学習が可能となっている。

また、GPU学習環境のオンプレミスでの構築やメンテナンスには多額のコストがかかり、構築したオンプレミス環境のGPUマシンはディープラーニング学習を実行していないときは使われない。さらに大量データを用いた複雑な学習を実行する場合はGPUマシンの性能上限が制約となる。

今回提供されるクラウド環境では、学習時間に応じて210円/時間から利用可能で、必要なときに必要な分だけCPUやGPUを利用することで構築費用を削減できる。また、学習内容に応じてGPUの種類を選択することで柔軟に処理性能の上限をコントロール可能となっている。これにより、研究者や開発者は、オンデマンドでクラウド環境の有償のリソースを利用することで、一時的な構築費用を削減でき、柔軟な学習環境でより効率的に本格的なディープラーニングプログラムを開発できるという。