2017年、2,869万人と過去最高のインバウンド観光客が日本を訪れた。そうした外国人観光客による経済効果も莫大だ。

物品購入費はもちろん、宿泊費、飲食費、交通費などで4兆4,000億円を超えたといわれている。そしてリピート率が高いという特徴もある。訪日外国人観光客の約6割がリピーターなのだそうだ。まずは東京、大阪、京都といった代表的な都市を訪れ、2度目には金沢や広島といった地方を観光することも多い。筆者は取材の関係で昨年、広島県・厳島を訪れたが、7割ほどが外国人ではないかと思ったほどだ。

そして2018年、昨年よりもハイペースでインバンドが訪日している。3,000万人を超すと予測され、さらなる経済効果が期待できる。

ただ、懸念がないわけではない。それは、日本独特の“暑さ”だ。この暑さを知らずに訪日し、熱中症になってしまうということも考えられる。この暑さに辟易し、リピートする意欲を失うばかりか、最悪の場合、熱中症で命を落としかねない。

インバウンドに啓発活動

こうしたインバウンド向けに、熱中症に対する啓発活動を行い始めた一般財団法人がある。日本気象協会だ。そして、啓発活動を告知するため、5月8日にメディア向け発表会が行われた。

  • 左:発表会が行われたホテル椿山荘東京からの眺め。右:啓発活動のロゴマーク

日本気象協会は、天気予測や気象情報を提供するところというイメージを持つ方が多いだろう。だが、熱中症対策にも熱心だ。すでにこの取り組みは今夏で6回目となる。そして、今年は増え続けるインバンド向けに啓発活動を始めた。なお、この啓発活動には「熱中症ゼロへ」というタイトルがつけられている。このタイトルには、“熱中症による死者をゼロにする”という意味が込められている。