想定以上に不採算プロジェクトが拡大したことも打撃を与えた。とくに、2017年度は、従来から不採算プロジェクトが発生しやすかったシステムインテグレーションに加えて、インフラ構築に関するサービスでも不採算プロジェクトが発生した点が想定外だった。

富士通の塚野英博代表取締役副社長兼CFOは、「近年では、単純なインフラ構築から、ネットワークやセキュリティなどのソリューションを組み合わせることにより、付加価値を高めたインフラ構築案件が増加。プロジェクトの難易度が高まっている。過去のインフラサービスの領域では、国内で大きな不採算プロジェクトの発生はなく、アシュアランス部門による関与が弱い領域であった。再発防止に向けて、この領域における対応力強化を進める」と反省する。

そして、田中社長は、「これらが、多額のマイナス影響を及ぼしたことに強い危機感を持っている。2018年度は改めて対策を徹底するつもりであり、その対象領域は多岐にわたる」と語る。

2018年10月に経営方針進捗レビューを発表

具体的な内容については、2018年10月に開催予定の経営方針進捗レビュー説明会で発表する考えだ。

「経営方針の達成に向けたマイルストーンを含めた詳細を改めて発表する。2018年度は、将来的な成長を見据えた、より厳格な投資の集中と、改革を必要とする事業領域の体質強化に躊躇なく手を打っていくものになる」と、田中社長は厳しい表情で語った。

田中社長は、経営方針の軸に、『つながるサービス』の展開を掲げている。

つながるサービスでは、「ソリューションSIやインフラサービスによって蓄積されたノウハウ」、「クラウドやミドルウェアなどの豊富なソフトウェア」、「サーバー、ストレージ、ネットワークといったコアハードウェアのソフトウェア化」にフォーカス。クラウド、AI、ビッグデータ、IoT、そしてセキュリティに注力することになる。

この方針は、つながるサービスにおいてコア事業とはならないPC事業や携帯電話事業、ニフティのコンシューマ向け事業などの売却にもつながっており、田中社長は、「つながるサービスの展開に向けて手を打ってきたことで売却益を加わり、純利益は過去最高益になった」と説明する。

だが、いまは、売却益がプラス要素だが、事業領域が集中したことによる成果は、これからであり、本当の評価はこれからだともいえる。 田中社長体制での3年間は、設定したマイルストーンへの目標未達という点では、厳しい採点をせざるをえない。

一度リセットすることになる中期経営計画では、次の指標がどんな形で示めされるのか。過去最高の更新も大切ではあるが、地に足の着いた計画立案が、まずは大切ではないだろうか。