シャープが発表した2017年度連結業績は、4年ぶりの通期最終黒字となった。そして、リーマンショック前の2007年度以来、10年ぶりに年間を通じて全四半期が最終黒字となった。

2016年8月に、鴻海傘下で再建を開始して以降、回復基調へと転換し、東証一部復帰などを果たしてきたシャープが、通期最終黒字化によって、新たな再建の成果を示した格好だ。そして、2011年度以来、6年ぶりの配当を実施することも同時に発表した。

プレゼンを行う野村勝明代表取締役兼副社長執行役員

シャープの野村勝明代表取締役兼副社長執行役員は、「新体制に移行して以来、継続的に構造改革、事業拡大に取り組み、配当を実施できるまでに業績を回復できた。戴正呉社長による強いリーダーシップと、それに応えるように社員が経営のポイントにしっかりと取り組んだことが最終黒字につながっている」と自己評価する。そして、「この流れを止めることなく、事業拡大に取り組み、中期経営計画の着実な達成とともに、収益力の強化と財務体質の改善を図る」と意気込む。

2017年度の業績は、売上高が前年比18.4%増の2兆4272億円、営業利益が44.3%増の901億円、経常利益が256.3%増の893億円、当期純利益が前年の248億円の赤字から、702億円の黒字に転換した。

液晶テレビ事業が回復

「売上高および営業利益は、第4四半期における大手顧客の需要変動に伴い、IoTエレクトロデバイスが想定を下回り、赤字となったことで、通期予想には届かなかった」と、iPhone Xの販売不振の影響があったことを暗に示したが、もともとシャープの経営低迷の元凶であった液晶ディスプレイ事業および液晶テレビ事業が回復。これら事業を含むアドバンスディスプレイシステムの売上高は前年比29.0%の1兆865億円、営業利益は前年比10.4倍の370億円と大幅に回復させてみせた。

「液晶テレビ事業は、価格下落の影響があったものの、中国をはじめとする海外での販売が好調であったことから、黒字を継続。また、ディスプレイ事業は、車載用パネルをはじめとする中型パネルへのカテゴリーシフトやコストダウンが寄与し、大きく改善した」という。