Appleが3月27日にシカゴの高校で開催した「Let's take a field trip」イベントで、新型iPadを教室の中に安心して導入するための 「環境」も用意した。既存の「Apple Classroom」の機能向上に加えて、先生が日々の授業にアプリを取り入れることができる「Schoolwork」と、教室の中で使えるアプリを開発できる「Class Kit」が用意された。
これらの環境がどのように動作するのか、またAppleの教育市場開拓にどれだけ効果を発揮するのか、考えていこう。
iPadを導入していない学校でよく聞かれるのは、生徒たちが端末に夢中になって、授業に集中してくれなくなってしまうのではないか、という懸念だ。これに対して、非常に不真面目な角度から反論してみよう。筆者の過去をふりかえれば、 テクノロジーやデバイスがなくても授業を聞いていなかった。iPadがあろうがなかろうが不真面目な生徒は不真面目ということでしかないのだ。
もう一つの問題点は、クラス全員のデバイスの準備が整うまでに、時間がかかり過ぎるというものだ。デバイスを起動し、生徒ひとりひとりの環境にログインして、授業で用いるソフトウェアを起動して、と、授業の内容に入るまでで一苦労だ。そこでトラブルが起きれば解決するまで対応しなければならないし、ネットワークが貧弱だと生徒全員に影響が出てしまう。
iPadを教室内で用いる上でAppleが用意したのが、デバイスを管理・コントロールできるClassroomだ。Appleはイベント内のプログラムとして、Classroomで生徒向けのiPadを管理している教室での授業体験を紹介していた。教室に入ると、テーブルの上にiPadが置いてある。新しいClassroomでは、iPadの画面に表示されている生徒の顔と名前をタップすれば、その生徒の環境がすぐに呼び出される。
AppleはClassroomから利用できる教育の現場向けApple IDのストレージを5GBから200GBに増量した。最大でも128GBの教育市場に人気のある廉価版iPadなら、データをまるごと保存しても十分なものとなった。
模擬授業では3つのことを体験した。数学のフィボナッチ数列を説明するビデオに詩を作って(「俳句」と説明していた)ナレーションを入れ、完成させる。歴史の授業では、ケネディ大統領の有名なライス大学での演説から「われわれは月へ行くことを選びます。」のフレーズを読み上げ、GarageBandでBGMを付けてみた。そしてSwift Playgroundsではロボットにダンスをさせるための一連の作業を行った。