3K×少量多品種で他企業との差別化を

同社はITバブル崩壊後から、外販の拡大に向け、他社との差別化を図ることを目的に「高速」、「高多層」、「高精細技術」の3つに力を入れてきた。現在、同社の事業が好調であるのは、この的確な舵取りがあったためであったという。そこで培ってきた数々の技術により、付加価値の高い製品を作ることができるようになった。つまり、同社のプリント基板がここまで多くの売り上げを創出しているのは、その「質の良さ」にあるわけだ。

例えば、電気特性を確保しながら高密度配線収容に対応した102層のリジット配線板や、0.3mmピッチ・800ピンBGA対応の26層の狭ピッチプリント配線板などを実現しているほか、現在は、高周波、放熱などの用途に応じて、必要箇所にのみ高機能基材を複合的に用いることで、目的性能とコストを両立する「ハイブリット積層基板」を開発中であり、高い技術力を保持し、それを製品に展開することで、高品質なプリント基板の製造を可能にしていることが分かる。

そんな質の良さにこだわったプリント基板だけあってか、顧客は業種問わず、通信系や情報系、航空系、医療系、果ては半導体製造装置(テスタ)、ハイエンドサーバなどといった信頼性や高精度、長寿命といったことが求められる分野が多く、その売り上げの多くが10層以上の高多層基板となっており、その比率は業界平均20% 弱に対し、OPC上越工場では55% 以上を占めている。ちなみに通信系の売上比率が高いのは、OKIの通信機器向けプリント基板の生産からスタートしたという背景があるためである。

  • OKIプリンテッドサーキット

    顧客は幅広く、国内ユーザーで300社以上。現在、半導体関連を中心に、海外にもその販路を広げている

また、高い技術力に加え、「少量多品種生産」ができることも同社の特徴となる。現在、ロット当たりの生産枚数は平均10枚程度であるが、それを、1日に150ロットも回す必要がある場合もあるという。これを実現できるのは、長年の間に培ったノウハウ、そしてさまざまなニーズに対応することを目指して築き上げてきた、幾度とない設備投資やラインの最適化などで生み出された現在の工場があるからこそだ。

しかし、半導体の好景気を背景に、現在の同社は工場をフル稼働してもなお生産が追い付かないほどの注文が殺到している状況だという。今回同社が行った設備投資は、こうしたひっ迫した状況を打破するためのものとなる。これにより、生産能力の向上が図られることはもちろん、より高精細な製品の生産も目指せるようになるという。