AppleはiPhone、iPad向けのiOSの最新バージョンとなるiOS 11.3について、開発者と一般向けのベータ版を公開した。春に正式版をリリースする予定だ。このバージョンには、iOS 11を発表した際の新機能のほか、様々な戦略的機能が盛り込まれている。

Appleのウェブサイト内にあるNewsroomで新機能について紹介しているが、これから起きるであろうこと、Appleが取りに行こうとしているポジションなどについて考えていこう。

  • iOS 11.3では、新しいアニ文字の追加などが盛り込まれる

iOS 11.3でまず注目すべきは、2017年12月に発生し、年末年始にかけて対応に追われていたバッテリー問題への対処が盛り込まれている。Appleは2017年1月以降、iPhoneの旧機種のうちバッテリーが劣化しているデバイスのパフォーマンスを引き下げ、頻繁なクラッシュを回避する機能を仕込んでいた。それについて、Appleはあくまで「ユーザー体験向上」のための措置であることを強調してきた。

しかし、このことが明らかになったのは2017年12月であり、1年余の期間、ユーザーに黙ってパフォーマンスを制限していたことが「買い替え喚起の機能制限」と受け取られてしまったのである。そこで、iOS 11.3以降では、設定アプリ内のバッテリーの項目に、バッテリーの健康状態を表示する機能を追加するほか、パフォーマンス制限のオン・オフもユーザーが任意で設定できるようにする模様だ。現段階のベータ版にはこの機能はまだ反映されていないが。

これまで、Appleは電源管理の理由と必要性についてウェブサイトで説明し、また希望者にはiPhoneの旧機種のバッテリー交換について、日本では8,800円から3,200円(税抜)に大幅に値引きする対応を打ち出してきたが、それに先述の新機能を加えることで、今回の問題に関して幕引きをしようとしている。