Appleは2017年6月の世界開発者会議 WWDC 2017で、拡張現実アプリを実現できる「ARKit」をiOS 11に用意し、iOSデバイスが「世界最大のARプラットホーム」になったことをアピールした。iOS 11.3ではARKitのバージョンアップが図られており、最新版の「ARKit 1.5」では、現実世界とより深く連携する没入感あるAR体験を提供し、また新世代のARアプリを実現するとしている。

  • ARKit 1.5では、ポスター、看板、図版などのアートワークをインタラクティブなAR体験に変えることが可能となる

ARKit 1.5で最も大きな変化は、垂直面を認識することができるようになったところだろう。これまで水平面のみ、すなわちテーブルや床面を認識して、そこに物体などを配置することができたが、今度は壁やドアにも物を配置できるようになる。例えば、壁に時計を配置したり、窓にカーテンをかけるといったことが可能になるのだ。さらに、丸いテーブルなどの形の平面認識精度も向上する。

また、コンピュータビジョンを活用した二次元イメージの認識を実現する。例えば標識やポスター、絵画などをARKitで認識し、これをきっかけにしてデジタルオブジェクトやアニメーションを重ねられるのだ。前述の垂直面の認識とコンピュータビジョンを組み合わせれば、例えば美術館の絵画を認識し、壁面にそれに関連するビデオ解説を表示することもできるようになるだろう。

そして、解像度も向上する。これまでARKitを用いる際、カメラを通じて得られる現実世界の映像は720pの解像度しかなかった。そのためiPhoneのディスプレイで見ると、現実世界が不鮮明に見えることもあった。ARKit 1.5では解像度が1080pに向上し、オートフォーカスもサポートするため、よりシャープな映像に拡張現実体験が重ねられるようになる。

ARKitにおいて重要なのは、iOSアプリ向けに開発するなら、AR機能を作る際にライセンスが不要で、開発者はコスト負担なくアプリの開発に取り組むことができる点だ。またユーザーはA9プロセッサ以降を搭載するiPhone、iPadであれば追加コストなしでARアプリが楽しめることが挙げられる。

Appleは以前から、ARはあらゆる種類のアプリを押し上げる次世代の体験であることを強調しており、その機能向上はiOS 11.3の目玉、というべき存在となるだろう。