オーディオテクニカ: リケーブルを舐めちゃいけない
最後に注目したいのが、オーディオテクニカのA2DCコネクター専用・高音質リケーブルのコーナー。同社はワイヤレスヘッドホンやイヤホンも展示していましたが、ここではあえてリケーブルを取り上げます。
ブースには、イヤホン(下出し)用、イヤホン(耳掛け)用、ポータブルヘッドホン用それぞれのアンバランス向けとバランス向けのケーブルがずらりと並び、実際に試聴可能になっていました。果たして、ケーブルを変えるだけでどれほど音が変わるのか。
いやもう、実際に試すまで正直舐めてました。「どうせ素人が聞いても、分かったような分からないような表現しづらい違いがようやく分かる程度でしょ」なんて思って試聴したのが、恥ずかしいレベルで違いました。
試しに、プレーヤー標準添付のイヤホンと、イヤホン(下出し)用でアンバランス対応の「HDC213A/1.2」、そしてバランス対応の「HDC212A/1.2」を比較してみました。プレーヤーもイヤーピースも同じで、再生する曲も同じ曲の同じパート。それなのに、聞こえてくる音が全然違いました。
標準のものからオーディオテクニカのアンバランスケーブルに変えた途端、音の解像感が増し、単純にボリュームも大きく聞こえました。バランスケーブルに変えるとそれがますます顕著になり、「これ、なんでボリュームまで大きくなるんですか?」と思わず聞いてしまったほど。
解像感が増すとそれぞれの楽器の音が混ざらなくなり、どの楽器がどこで音を出しているのかがハッキリと分かるようになります。そのため音に広がりが出て、あたかも音量まで増したように感じるのだそう。これは新鮮な経験でした。
「良い音」と「持ち運び(ポータブル)」は、本来相容れないものです。ポータブルオーディオは雑音にまみれた場所で聞くこととも多いので、どこでもいい音で聴くのはとても難しい。また、あまりに高級モデルばかりになってしまうと、マニアの閉じた世界で終わってしまう可能性があります。
今回ポタフェスに参加して、「ポータブルで最大限に良い音を実現したい」「コスパに気を配って間口を広げたい」など、各社がそれぞれのミッションに長年挑戦し続けていることを実感しました。次回の開催も今から楽しみです。