SK HynixがReRAMの高性能化技術を発表
2017年度の半導体デバイス技術に関する国際学会「International Electron Device Meetintg(IEDM 2017)」が去る12月2日~6日に米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催され、韓国SK Hynixが、「Breakthrough of Selector Technology for Cross-Point 25nm ReRAM」と題し、一般的な材料で3次元積層ReRAM(抵抗変化メモリ)のセル選択素子(セレクタ)を構成できる技術の発表を行った。
次世代の不揮発性メモリにおいて、3次元積層のクロスポイントメモリ構造(図1)の2端子のセル選択素子(セレクタ)の材質についての研究が世界中で進められている。Intel/Micron Technologyが共同で開発を進めてきた3D Xpointメモリ技術は、すでに一部の用途で実用化に至っているが、その材質は複雑で、かつ組成は極秘とされている。
これまでも同社はReRAMの研究を行ってきたが、今回の発表では、Asを添加した二酸化シリコン(SiO2)というきわめて一般的な半導体材料だけで、セレクタを開発し(図2)、25nmプロセスで試作し、電流密度25 mA/cm2、オン時間52nsでオフ時間23nsという高速スイッチングを実現したことを報告した。105回以上の書き換えが可能なことを確認しているという。今後、このような一般的な材料で次世代メモリが製造できるとしたら、メモリ業界にとって朗報である。
なお、Sk Hynixは、東芝メモリとSTT-MRAMの共同研究を韓国のSK Hynix研究センターで進めており、ISSCC 2017で、先端DRAMとほぼ同等の4Gbit STT-MRAMチップを発表している。こうした様子から、IntelおよびMicronを除く多くのメモリメーカーや研究機関も同様だが、次世代の不揮発性メモリを1つに縛り切っていない様子がうかがえる。強誘電体メモリ(FeRAM)は、高集積化が困難なため、次世代メモリ候補から脱落したかに見えたが、最近、High-kゲート絶縁膜として広く使われているHfO2に強誘電体であることが発見され、以降、FeRAMに再び脚光が浴びるようになってきている。
Macronixが3D NANDの高記憶密度化技術を発表
また、台湾Macronix Internationalは、「A 128Gb(MLC)/192Gb(TLC) Single-Gate Vertical Channel(SGVC) Architecture 3D NAND using only 16 Layers with Robust Read Disturb, Long-Retention and Excellent Scaling Capability」と題し、3D NANDを対象に、16層という低層ながら192Gbit(TLCセル)を実現可能な技術の発表を行った。
従来型の3D NANDセル技術は、円柱状の垂直なチャンネルの周囲をワード線と絶縁層が取り巻くセル構造であったが(図4の左)、今回、同社が開発した3D NANDセル技術では、薄い板状の垂直なチャネルに隣接してワード線と絶縁層を配置している。
これにより、従来構造に比べ、シリコン面積当たりに配置できるチャネルの本数を増やせるので、48層で1Tbitの記憶容量を実現できるとしている。