進むアイスのスイーツ化

もちろん、単に値段を上げたわけではない。「高いものを売りたいというより、この品質でこの価格という値ごろ感を常に意識している」(石原氏)。

セブン-イレブンが冬アイスの価値観と定めるのは、「自分へのご褒美」「幸せな気分になれる」「リラックスできる」といった"情緒"的価値である。ここには子供を想定した価値観はない。言うなればスイーツ。そう、アイスクリームはスイーツに変わったのだ。

  • セブンにとってアイスクリームは年間を通じてスイーツの地位を確立したという

たとえば、新商品のマカロンアイスサンド。1個何百円もするマカロンが、セブン-イレブンであればボリューム感たっぷりのマカロンが230円で買えることになる。アイスは100円というイメージの人でも、アイスは子供のおやつではなく、スイーツになったのだと理解すれば納得できるだろう。

  • マカロンアイスサンドのマカロンはボリューム感がたっぷりだった

こうしたアイスクリームのスイーツ化は、セブン-イレブンだけではないようだ。ナショナルブランドも含めて、高価格商品が出ており、石原氏は「マーケットのなかでアイスクリームはワンランク高くなっている」と指摘する。

こうした傾向を後押しするのは、何も製造側だけではない。「モニター調査も行なうと、200円、300円でもおいしければ買うという声を結構いただく。お客様が求める品質は高まっている」(石原氏)というのが実態だ。

ちなみに、コンビニ売りの高級感あるアイスといえば、ハーゲンダッツのミニカップがある。価格はミニカップで税別272円。この水準を超えるようだと、ハーゲンダッツとの戦いにもなりそうだが、将来的にこの価格を超えるような新作アイスは登場するのだろうか。

石原氏は「同じようなカップ商品を売り出す発想はない」とする。しかし、「マーケットにない新しいものであれば、結果的に300円を超えることもあると思う」と話す。同氏のコメントからは、コンビニアイスのスイーツ化は今後も続き、さらに高価格化が進んでもおかしくなさそうである。