消費者動向を調査・研究するMMD研究所は11月28日、都内でプレス向けのMVNO勉強会を開催した。大手3キャリア(NTTドコモ、au、ソフトバンク)のサービス価格見直しやサブブランドの躍進、準大手だったFREETELを楽天が買収するなど、波乱に満ちた印象のある2017年のMVNO業界だったが、実際はどのような1年だったのか。データとともに振り返ってみよう。

MVNOの認知度は高まるが需要は一周?

まずはMMD研究所から最新の調査データが開示された。これによると、まず格安SIMの認知度は、格安SIMという言葉を知っている人が89.1%、どのようなサービスがあるか知っている人が59.2%、内容を理解しているという人が47.5%と、ほぼ半数近くがサービス内容を理解するところまで来ている。

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    特にサービス内容を理解している人は1年で34.5%→47.5%と13ポイントも増えており、格安SIMという存在がしっかり定着してきたことがわかる

一方で、利用検討者は24.1%、利用経験者は15.9%、継続利用(2台持ちを含む)は14.3%。利用継続者は半年で2.2ポイント上昇しているが、利用検討者は1年で22.6→24.1%と1.5ポイントしか上昇しておらず、横ばい傾向にある。つまり、現段階である程度試してみたいというユーザーは一巡しており、さらなる顧客獲得のためには、これまでとは違う層を新たに開拓する必要があるわけだ。

格安SIMをメイン回線として利用しているユーザーに限った場合、MVNOの市場全体でのシェアは8.5%。これは昨年の5.8%から比べると、46.6%もの伸びとなる。ちなみにソフトバンクのサブブランドであるY!mobileを加えるとMVNOのシェアは12.4%にまで達する。今年はキャリアが低価格プランを見直したり、サブブランドで攻勢をかけるなどの動きが目立ち、正直なところ、MVNO市場全体はやや低調ではないのかという印象があったのだが、シェア自体は着実に成長を続けて来たことがわかる。

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    MVNOの伸び自体は大きく、前年比で約50%増という勢い。およそ10人に一人はMVNOを使っている計算になる

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    端末を見ていくと、使用デバイスはモバイルルーターやタブレットの割合が減り、スマートフォンが86%以上を占めている。AndroidとiOSの比率はほぼ2:1といったところだ