日本人はモバイルバッテリーを持ち歩いて、スマホの電池残量を管理している場合が多いが、米国では日本ほどモバイルバッテリーが充実しておらず、価格も高いままである。2016年の「Pokemon GO」の爆発的な人気で、ようやくモバイルバッテリーでの屋外での充電に注目が集まり始めた、という印象だ。

ワイヤレス充電についても、ようやく「Appleの対応待ち」の状況から脱することに

米国ではマクドナルドやスターバックスが、カフェのテーブルにワイヤレス充電のインフラを設置する動きが拡がっている。ちなみにスターバックスが採用していたのはQiではないPowerMatという規格で、iPhone 8をサポートしていない。SlashGearのインタビューに応えたPowerMatのCTO、Itay Sherman氏によると、スターバックスに入っているワイヤレス充電器はクラウドに接続されており、ソフトウェアアップデートによってQiにも対応するとしている。

iPhoneがQiに対応したことで、カフェや空港などの人が集まる場所でのワイヤレス充電の拡大は加速しそうだ。これまで、充電設備を提供するには、少なくともLightning、microUSB、USB-Cの3種類のケーブルを用意し、断線する度に交換するメンテナンスが必要だった。しかしワイヤレス充電なら、断線の心配も、機種間の端子の違いも考えなくて良くなり、投資効率が高まることが期待できる。

ワイヤレス充電についても、Appleは真っ先にサポートした企業ではなかったが、米国の様子を見ていると、「Appleの対応待ち」の状況をやっと脱して、本格普及が始まるきっかけを演出する結果となったようだ。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura