10年前、初代iPhoneが登場した年、9月にニューヨークで初めて利用した。そのときに最も感動した機能は、マップだった。当時はGoogleマップを利用していたが、紙の地図とは異なる検索可能な情報になり、拡大縮小も自由自在に行え、渋滞情報までリアルタイムで入ってくる。

個人的に、地図はiPhoneで最も自分のライフスタイルに変化を及ぼすであろうと感じた原体験だった。

ワンタップすればすぐに経路検索をしてくれる。同じ画面からの配車サービスを予約は、サンフランシスコ近郊での生活には特に便利だ

マップアプリは現在、地図の中から情報を検索したり、配車アプリを起動したり、関連するアプリとの連携を行えるようになった。

おそらく決まった場所に通勤する人にとっては、いちいち地図で経路を検索したりはしないだろうが、それでも、友人に会う、家族と出かける、子供と遊びに行く、旅行に行く、といった生活の中の様々な場面で、地図を利用することになる。

人々の生活の中では、様々なサイズの空間を利用する。現在は車や交通機関で移動する空間についての充実が図られているが、施設内マップでは、空間のサイズをさらに細かくすることに成功しつつある。今後は、家の中というサイズであったり、飛行機を利用するような移動も含めた、人々の移動に関わるあらゆる事象を、マップアプリがサポートしていくことになるだろう。

日本ではSuicaを設定していれば、交通機関を使った移動に対してSuicaの残高不足をお知らせする機能が昨年から追加済みだ。今後も、自動運転や電気自動車の航続距離など、移動に関わる新たな要素が加わっていくことになるだろう。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura