2017年8月27日から4日間の日程で開催された「VMworld 2017」(米国ネバダ州ラスベガス開催)。日本からは300名超のユーザー企業やパートナー関係者が参加した。もちろん、過去最多人数だ。

14回目となる今回は、2016年10月に発表された「VMware Cloud on AWS」の提供開始やVMware初のセキュリティ製品となる「VMware AppDefense」、これまでのクロスクラウド戦略を具現化した「VMware Cloud Services」など、VMwareの今後の方向性を示す製品/サービスが発表された。

「VMware Cloud on AWS」の日本でのサービス開始時期は未定だが、2018年末までには開始される予定だ。日本でもAWSを利用している企業は多く、同サービスのリリースがヴイエムウェア日本法人にとって追い風になることは間違いない。ヴイエムウェアの代表取締役会長である三木泰雄氏は「お客さまに訴求するのは、正式なリリース日程や課金体系、付帯するサービス内容を決定してからだ」とするものの、「(VMware Cloud on AWSの)サポート体制は万全だ」力を込める。

VDI(Virtual Desktop Infrastructure)やEUC(End User Computing)、Hyper-Converged Infrastructure分野でも堅調な伸びを見せているヴイエムウェア日本法人。今後の戦略を、三木会長に現地で聞いた。

ヴイエムウェア日本法人で代表取締役会長を務める三木泰雄氏

--VMwareは製品/サービスのカテゴリをソリューションベースに変更した。この意図はどこにあるのか--

三木氏: サーバ仮想化を始めたばかりの頃に開催していたVM Worldは、新機能の紹介が主なトピックであり、参加者も「新たな機能で何ができるのか」に興味を持っていた。現在は「Any Cloud, Any Application, Any Device」の戦略どおり、製品ラインが多様化し、ITインフラ全体に対する提案が可能になっている。つまり、顧客の課題に対して、ソリューションカットで全体像を提案し、その後に課題解決を実現する製品は何かを紹介する。お客さまにとっても、こうした提案の仕方は自然に受け入れられると考えている。

--今回のVMworldでは「一貫した運用管理とインフラストラクチャ」の必要性が強調された。このメッセージを日本市場にどのように訴求していくのか--

三木氏: VMwareは「サイロ化した環境を1つのプラットフォームに集約する」ことに注力している。かねてから、サーバ、ストレージ、ネットワークなど個々にサイロ化しているものを集約し、(データセンターの中の)1つのインフラストラクチャとして効率よく管理することを提案してきた。

その潮流はクラウドも例外ではない。オンプレミス/パブリックとサイロ化したものを「クロスクラウド アーキテクチャ」で1つのフレームとして統合するよう訴求している。今回発表した「VMware Cloud Services」がそれに当たる。

また、EUCの分野においては、これまで「運用管理とインフラストラクチャを統合する」という発想自体がなかったものを「VMware Workspace ONE」で実現しようと提案している。端末ごとに行っていた運用管理を、マルチデバイスでもサポートできる共通インフラを作る。今後マルチデバイス化が進むことは明白であり、Workspace ONEの需要は拡大すると確信している。

--VMware初のセキュリティ製品として「VMware AppDefense」が発表された。どのような訴求戦略を考えているか--

三木氏: 日本における「VMware AppDefense」の展開については詳細が決まっていないので、具体的な戦略はこれから詰めていく。

仮想環境のセキュリティ対策は、これまでのセキュリティ対策の延長上ではなく、異なる発想と視点から(対策を)レベルアップする必要がある。現在のセキュリティ製品は、仮想環境が普及する前の時代からあるものだ。一方、われわれが提供するネットワーク仮想化プラットフォームの「VMware NSX」に備わっている「マイクロセグメンテーション」は、セキュリティのセグメントを仮想マシン単位に分割したもので、「仮想環境ありき」のセキュリティ対策機能だと言える。

CEOのPat Gelsinger(パット ゲルシンガー)は今回の基調講演で、「セキュリティは『アーキテクチャ イン』(アーキテクチャに組み込まれたもの)でなければならない」と説いた。VMwareの出発点はハイパーバイザーであり、それを提供しているわれわれだからこそ、実現できるセキュリティ対策があると自負している。

今回のVMWorldでは一貫した運用管理とインフラストラクチャで「Any Cloud, Any Application, Any Device」を実現する姿勢が強調された