LINEは6月15日、今後の技術方針などを発表する「LINE CONFERENCE 2017」を開催した。その中で同社は今夏から展開するAIクラウドプラットフォーム「Clova」と、それを搭載したスマートスピーカー「WAVE」を発表した。グーグルやアップルらがスマートスピーカーを発表・導入する中、LINEが描く「スマートスピーカーのある生活」とはどのようなものか。

最初の製品「WAVE」は意欲的な価格設定

カンファレンス会場に展示してあった実機。存在感はそれなりにあるが、リビングや自室に置いてあっても不自然さはない

2月にスペインで開催されたMWC2017でLINEが発表していたAIクラウドプラットフォーム「Clova」。その搭載製品として2製品が発表済みだったが、今回改めて今夏の発売が発表され、初めて実機が紹介されたのが「Clova WAVE」だ。

WAVEは高さ20cm強の円錐型をしたスマートスピーカーだ。1ウーファー・2ツイーター構成で、Wi-FiやBluetoothを通じてLINE MUSICの楽曲を流せる他、内蔵するマイクでユーザーからの音声コマンドを拾い、Clova側で処理して合成音声でユーザーに結果を返す。カンファレンスの壇上では実機によるデモも披露されたが、「Clova」と呼びかけてから「今日の天気は?」「今の天気に合った音楽をかけて」などという自然言語によるコマンドをかなり自然な発音の日本語で処理していた。心配される日本語認識については、一定以上の水準を実現していそうだ。

販売価格は1万5,000円。ただし、音楽機能だけを搭載したモデルが夏に1万円で先行販売される。この先行販売モデルは後日正規版が登場したときに、アップデートで正規版相当になるため、単純に「いち早く手に入れた人は安く買える」ことになる。価格から言って、スピーカー本体のハードウェアで利益を出す製品という位置付けでないことは明らかだ。ただし、内部的にはローエンドのAndroidスマートフォン相当であり、スピーカーとしても最小限の装備であることから、原価もさしてかかっていないと思われるため、ある程度売れれば単体でペイするかもしれない。

ちなみに競合製品を見ると、今夏日本上陸する予定のGoogle Homeが129ドル、まだ日本での展開が不明なアマゾンのAmazon Echoは179ドルだ。Google Homeの値付け次第だが、WAVEの競争力は十分高いと見ていいだろう。アップルのHomePodは399ドル(約4万8,000円)と、他社の2倍近い高級路線だが、こちらは搭載するツイーターが7つあってバーチャルサラウンドも可能になるなど、音質も追求したものになるため、直接の競合にはならないと見られる。

なお、カンファレンスではWAVEとともにMWCで発表されたディスプレイ付きの「FACE」に加え、初登場となる子供向け・低価格路線を狙った「CHAMP」が紹介されていた。CHAMPは価格次第だが若年層向けにかなり浸透しそうな気配があった。

CHAMPはLINEの人気キャラクターであるブラウンやサリーの姿をかたどったスピーカー。他のキャラクターとのコラボ製品も考えているそうなので、例えば「緑の恐竜」や「赤い毛むくじゃら」といった形状のものが登場する可能性もある