説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『「iOS 11」でどんなアプリが出てくるの?』という質問に答えます。

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WWDC 2017で「iOS 11」が発表されましたね。一般公開は今秋の予定ですから、対応アプリの登場は数ヶ月先ということになりますが、iOS 11とあわせて発表された新しい開発者向けフレームワーク(アプリ開発に使える共有プログラム)の内容を見れば、どのようなアプリが登場してくるかある程度は推理できます。

もっとも注目度の高いフレームワークとしては、「ARKit」を挙げることができます。カメラから入力した画像を解析し、アプリの上に重ねて表示することができます。iPhoneに内蔵のモーションセンサーによるデータを使えば、接触したかどうかの判定も可能です。従来もAR(拡張現実)型アプリは存在しましたが、開発が容易になればその数や種類は増えることでしょう。

「Vision」も注目度大です。顔認識や文字の検出、バーコードの読取り、物体の検出と追跡といったカメラを活用した画像解析/識別機能が利用しやすくなります。カメラで文書を撮影するとテキストデータに変換してくれる文字認識(OCR)をベースに、翻訳機能を盛り込んだアプリが増えそうです。被写体を特定するとその動きに追随して撮影を続行するアプリも出てくるのではないでしょうか。

機械学習の成果を活用するためのフレームワーク「Core ML」も、アプリの可能性を高めてくれそうです。既製の学習済モデルを容易にアプリへ持ち込めるため、いわゆる「ディープラーニング」の成果を手っ取り早くアプリで実現できます。具体例としては、手書き文字認識の精度が向上したアプリが考えられそうです。

カメラ好きには「Depth API」が出色の存在です。iOS 10では、iPhone 7 Plusのデュアルレンズが取得したデータはサードパーティー製品で活用できませんが、iOS 11以降はDepth APIを利用したアプリでそれが可能になります。背景のボケを変化させるなど、写真表現の幅を広げるアプリが登場することでしょう。

WWDC 2017では、拡張現実を用いたアプリを開発しやすくする「AR Kit」など新しい開発フレームワークがいくつも発表されました