差別化の手法1:ポイントの活用

独自の経済圏への囲い込みは、実はすでにいくつかのMVNOでは実現している。代表的なのは楽天モバイルだ。楽天モバイルを使えば楽天市場などで使える楽天スーパーポイントが溜まり、それを携帯電話代の支払いにも使えるというサイクルを作り出している。

楽天スーパーポイントでの楽天モバイルの支払いが可能になったことを説明(写真は2016年発表会当時のもの)

ポイント制度はMNO各社もかなり力を入れてきている分野だけに競争も激しいが、サイクルにうまく取り込むことができれば、ユーザーはポイントがある限り解約せず使い続けてくれる公算が大きい。また、光回線とのセット割引についても、ポイントではなく割引という形ではあるが、囲い込みの一種と見ることができるだろう。

問題は、多くのユーザーが使い続けたいと思うような魅力的なポイント制度を持つのはなかなか難しいという点だ。楽天モバイルに匹敵する経済圏を築けるとなると、イオンモバイル(現在は未実施だが、WAONポイントやイオングループの保険、証券など各種サービスと連動させた場合)、ソフトバンクのMVNOであるSBパートナーズが全日空と組んで展開中の「ANA Phone」(ANAのマイルが貯まる)、あるいは家電系(ノジマ傘下になった「NIFTYモバイル」や、ビックカメラの「BIC SIM」など)などが考えられる。こうした武器を持つところは、できるだけはやく取りかかるべきだろう。