5月10日、ソフトバンクは2017年度3月期の決算説明会を開催した。日本企業としてはトヨタに次いで2例目となる営業利益1兆円を達成したソフトバンクだが、これは単なる通過点にすぎないと豪語する孫正義社長が描く将来図とはどのようなものだろうか。
十数年越しにかなった大風呂敷の夢
孫正義社長は、平成29年3月期の連結決算で、最終利益が前期比約3倍の1兆4,263億円、儲けを表す営業利益が1兆259億円を超えたことを明らかにした。孫社長は十数年前の決算発表の際に「これは大ボラなので100%ディスカウントして聞いて欲しいが、将来必ず1兆円、2兆円という利益を出す規模の会社にしてみせる」と宣言したことを取り上げ、その宣言がついに現実のものになったことを明らかにした。
こうした好調の原因として、孫社長は、グループ傘下にある米国の通信会社・スプリントが赤字から経営を立て直し、黒字化して成長エンジンとなってきたことを挙げた。また、ソフトバンクといえば多額の借金経営がよく知られているが、確かに借金の額は増えているものの、同時にグループが保有する株価資産の総額はそれを大きく上回るものであること、財務状況としてもフリーキャッシュフローが5,618億円に達したことなどを挙げ、成長企業においては借金の多寡よりもフリーキャッシュフローの数値を見るべきであると指摘した。
日本企業において純利益が1兆円を超えるのは3例目。営業利益としてはトヨタ自動車に次いで2例目であり、創業からの年数36年というのはそれらの大企業と比べてもはるかに短い、大偉業といえるものだ。しかし孫社長としては、1兆円を超えても不思議と感慨深いものがないという。それは1兆円の突破が達成点ではなく、単なる通過点にすぎない、もっと上を目指せるものだという実感が湧いているからだという。大事なのは1兆円を超えたことではなく、今後どこに行こうとしているのか、何をしようとしているか、という考え方のほうだという。