MVNOの通話品質について、内藤氏は「音声通話」と「データ通信」に分けて説明した。まず音声通話(080 / 090)に関してはMNOの設備をそのままMVNOでも使っているため、同等の品質だという(050の場合はインターネット電話、00XYの場合は他の通信事業者経由なので異なる)。

一方でデータ通信に関しては、MNOのゲートウェイ装置からMVNOのゲートウェイ装置に接続する部分で、使用する容量だけ利用料が発生する仕組み。つまり「MNOのネットワークを多く借りれば、通信速度が上がる。ただMVNOは、その分だけ使用料をMNOに支払わなければならない」と内藤氏。このためMVNOは、経営のバランスを考慮して容量を調整している。その結果、MVNOによる通信速度の違いが生じているという。

MNOとMVNOで、サービスの品質に違いはあるのか?音声通話に関しては同等。データ通信に関しては、MVNOにより通信速度の違いが生じている

MNOとしては、自社のユーザーに快適な環境でより多くのパケットを消費してもらいたいはず。そこでMVNOのネットワーク接続を制限したくなるのでは、と勘ぐってしまうが、内藤氏によれば「MNOがMVNOにネットワークを提供する際、自社の顧客に比べて不利な条件にしてはならないことが、約款変更命令の対象(第34条)で定められています。不当な差別的な取り扱いと認められると、業務改善命令の対象(第29条)にもなります」とのことだった。

電気通信事業法により、MVNOのサービス品質が確保されている。これにより例えばNTTドコモが、ドコモユーサーを優遇してMVNOを冷遇する、といったことは許されない

実際の運営は不明だが、総務省ではMNOがMVNOを不利に扱うことを防止することで、健全で対等な競争を促進しているようだ。なおサービスの品質を評価する上で必要になるインターネットの通信速度の測定方法についてはまだ統一されておらず、これは今後の検討課題だという。