日本マイクロソフトは2017年3月22日、15周年を迎える世界最大の学生向けITコンテスト「Imagine Cup 2017」の国内予選大会と、10周年目となるスタートアップ企業向けコンテスト「Innovation Award 2017」を都内で開催した。本稿ではInnovation Award 2017で各賞を受けた参加チームの内容を報告する。

Innovation Award 2017の様子

日本マイクロソフトは2017年3月22日、学生向けITコンテスト「Imagine Cup 2017」国内予選大会と、スタートアップ企業向けとなる「Innovation Award 2017」を同時に開く「Innovation Day 2017」を都内で開催した。本稿ではInnovation Award 2017に参加した13チームから各賞を受けた参加チームの内容をご報告する。

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ギークな独身男性のお友達「Gatebox」

まずPR TIMES賞及びオーディエンス賞を受けたウィンクルの「Gatebox」は、好きなキャラクターと一緒に暮らせるバーチャルホームロボット。

箱形の筐体(きょうたい)にキャラクターを映し出し、各種情報を取得して利用者に天気予報など生活に必要な情報を伝えるパートナー的存在として、自分自身を含む多くの独身男性向けに作ったと担当者は語る。YouTubeにコンセプト動画を公開したところ再生数は200万回以上に達し、その7割以上が海外からのアクセスだという。

ウィンクル「Gatebox」の基本的な機能

Gateboxの基本システム。外出先でもスマートフォン経由でコミュニケーションを可能にする

構造としては筐体にカメラやマイク、人感や温湿度、照度といったセンサーを取り付け、取得したデータを画像認識や顔認識、音声認識処理をnode.jsから制御。その結果としてUnity上でキャラクターを動かしている。

担当者は「1台30万円で予約販売を受け付けたところ、初日で100台。目標台数だった300台は1カ月で達し、完売した」という。AI(人工知能)部分はクラウドAIプラットフォーム「Clova」との連携により、豊かな表現を目指す。審査員からの単調になるのでは、という疑問に対しては「いかに悪ふざけするかに長けた15人のメンバーがそろっている」と抱負を述べた。さらに今後は、ユーザー体験の完成度が一定に達したら英語版などの他言語展開も視野に入れているという。

Microsoft Azureを活用することで運用コストが軽減できるとアピールしていた

PR TIMES賞及びオーディエンス賞を受けたウィンクル

食をテクノロジーで変える「マイソースファクトリー」

サムライインキュベート賞を受けたオルターブースの「マイソースファクトリー」は、健康寿命の延長が社会的課題と捉えて生活習慣から"食"を技術で変えようという試みだ。

具体的には"かぼすポン酢""和風たまねぎドレッシング"などベースとなるソースを選択し、ポン酢であればそこに醤油(しょうゆ)風味や酸味、甘み、果汁などを配合。さらにかつお・昆布風味を追加することでコクと旨味が増すという。一見すると味がバラバラになりそうだが、担当者によれば、各パラメーターの合計値は最大数を設けているため、味のバランスを崩さす料理に活かせるそうだ。

オルターブースの「マイソースファクトリー」

マイソースファクトリーの概要。基本的にはB2Cサービスとなる

担当者の説明によると、米国では2014年頃から「FoodTech」というキーワードで"食"をテクノロジーで進化させる市場が拡大中だそうだが、日本国内には同様の市場があるという話は寡聞にして知らない。この観点から見るとマイソースファクトリーの取り組みに興味を覚える読者諸氏も少なくないだろう。同サービスは2017年3月に始まったばかりのため、データは少ないものの、将来的には購買情報を元にユーザーへ"塩分控えめ"など健康を優先したリコメンド機能や、大量に発生する廃棄野菜を利活用した地域活性化などを目指す。

将来的にはユーザーの行動(購入)分析結果を用いたリコメンド機能の実装を目指す

サムライインキュベート賞を受けたオルターブース