アンテナはこれまで、ディスプレイ上部に配置していたが、新製品では、ヒンジ部に組み込むという異例のレイアウトを採用した。というのも、今回の製品では、狭額縁ディスプレイを採用することを優先したからだ。

狭額縁化により、同じ13.3型ディスプレイを採用しながらも、筐体サイズは約90%にまで削減。これも重量減につながっている。

「デザイン性を重視する上で、狭額縁ディスプレイの採用は不可避だと考えた。しかも、横方向だけでなく、上方向も含めた3点狭額縁にしたいと考えた。必然的にアンテナの位置を変えなくてはならないことになる。そこで考えたのが、プラスチック素材を採用したヒンジの中に埋め込むということであった」。

アンテナは360度回転ヒンジの中へ埋め込まれている。これは「他社でもまず例のない取り組み」で、設計でも特に苦労した部分という

だが、360度ディスプレイが回転すれば、当然のことながら、それによって、ヒンジ周りの環境が変わる。ノートPCとして使用している場合にはアンテナの性能が最大限に発揮されるように設計しても、タブレットモードにした場合、ディスプレイが回転することで、筐体の金属部がアンテナの近くに移動し、性能を弱めるということになるからだ。

アンテナは「斜め」に配置

何度もシミュレーションをした結果、ヒンジの上部位置に横方向に設置するのが最適という結論を導き出した。だが、デザイン性を壊さない形で横方向にアンテナを配置するのは物理的に無理。そこで、アンテナを斜めに設置して、ヒンジの大きさを変えずに収納。どんな使い方をしても、最適なアンテナ性能を発揮できるように工夫を凝らしたという。

まず最初に考えられたのが、アンテナをヒンジの奥に垂直に設置する方法。しかしこの方法は、タブレット形状にした際、天板やキーボード部がアンテナにほぼ接してしまう

次に考えられたのが、どんな形状でも電波干渉しにくいよう、ヒンジの上部にアンテナを水平に設置する方法。しかしこの方法ではヒンジが巨大化してしまい、デザイン性が損なわれるという結論になった

そして実現したのが、ヒンジの上部にアンテナを斜めに設置する方法。デザインを崩さず、最適なアンテナ性能を発揮できる

ヒンジ部にアンテナを収納したことで、上部左右の3点狭額縁を実現。また、これまでのように、ディスプレイ上部のアンテナ収納部分にプラスチック素材を採用することが無くなるため、天板全面にマグネシアムリチウム合金を使用でき、接着工程もなくなるというメリットが生まれた。これは、軽量化とコストダウンにつながっている。

もうひとつ、狭額縁ディスプレイの採用で課題となったのが、150kgfの面耐圧だ。インセル技術の採用によって、従来モデルのように隙間を作り、荷重を逃がすことができなくなった。これには、左右にクッションとなる素材を入れることで対処。狭額縁でありながら、NECパーソナルコンピュータが設定する基準を超える耐圧を実現することに成功した。

さて、LAVIE Hybrid ZEROの仕様の選定において、NECパーソナルコンピュータではいくつかの重要な判断をしている。