あわせて、周辺減光に対するゲインアップによるノイズも改善しているそうだ。ただ、これを実現するためにレンズの高さが従来より確保されており、カメラユニット全体が高くなったため、本体背面からレンズがやや出っ張るようになってしまった。

メインカメラユニットの高さが高くなったため、背面から見入るとカメラ部が少し出っ張っている

本体のカメラ機構

「デザイン的には不利になるが、レンズ性能を上げるために高さを確保した」と高野氏。デザイン性を少し犠牲にしてでも、広角レンズでありながら高画質を目指したのだという。

メモリ積層型CMOSセンサー自体も改善されていて、夜空のような暗い部分でもノイズが抑えられ、引き締まった黒が再現できるようになった。画像処理エンジンのBIONZ for mobileの絵作りも進化しており、夜景の照明が当たっている部分など、白トビしすぎていた部分も改善し、今まで色が抜けていたようなシーンでも本来の発色が表現できるようになった。AEやホワイトバランスも改善されている、という。

暗部の画質、白トビ、ホワイトバランスなど、さまざまな改善が加えられている

動画に関しても同様の改善が施されており、黒が締まり、白トビが抑えられているという。A/Dコンバータを4段にして読込速度が向上した結果、夜景のシーンでHDRを効かせているそうだ。

これまでプレミアムおまかせオートでは8MP設定でないとすべての機能が使えなかった。これは複数枚の写真を撮影して合成する処理などでプロセッサパワーの制約もあり、8MPであればタブレットなどでの利用でも十分という判断もあったそうだ。しかし今回、プロセッサが進化したことで、最大画素数でも複数枚処理をしても十分なパフォーマンスが発揮できるとして、デフォルトの解像度をフル解像度(16:9で17MP、4:3で19MP)に設定している。

ほかには、久しぶりにパノラマ撮影機能を強化。一度の撮影で全周360度を撮影できるようになった。最大解像度は4000×27000ピクセル。これまでは一定の角度まで撮影をしないときちんと記録されなかったが、カメラを動かすのをやめると、その場所できちんと記録を行うようになった。カメラのブレによる撮影中断も起こりにくくなったという。

ユーザーのために何ができるか

このように、新技術の投入に加えて細かい部分を含めた画質向上、使い勝手の改善を行っていったことで、Motion Eyeの画質や使い方の提案に大きな自信を見せる同社。最近のスマートフォンカメラのトレンドは「デュアルカメラ」だが、今回はメモリ積層型CMOSセンサーを使った新たな使い方提案にとどめた。

安達氏は、「デュアルカメラがトレンドになっているのは間違いない」としつつ、今回のタイミングではメモリ積層型CMOSセンサーを使ったシングルカメラの方がより新しいものを提案できる、と判断した。単にトレンドだからデュアルカメラにするのではなく、デュアルカメラによってユーザーにどういった提案ができるのか、なにを提案したいのか、といった点を検討しているという。

同社の選択が吉と出るか凶と出るか。新たな提案がユーザーに受け入れられるか、製品の画質評価も含めて、今後の製品の登場が楽しみだ。