BeatsXは、豊かで聞きやすい音作りと、外れにくく外部の音を遮断してくれるカナル型のデザイン、そしてネックストラップを採用したことで、多くの人にとって使いやすいワイヤレスヘッドホンに仕上がっている。

しかし、AppleのAirPodsと比較すると、革新的と呼べるほどの存在感を示せているわけではない。バッテリーライフの面で有利ではあるものの、これまでのBluetoothオーディオのイメージを超えることはなかった。

ただ、BeatsXはAirPodsよりも、バッテリーの搭載量や回路を搭載するスペースなどの面で、より制約が小さい製品でもある。すなわち、高機能化がしやすいということを意味している。

今後W1プロセッサがどのように進化していくのか、Appleからロードマップが示されているわけではないが、一般的なヘッドホンの発展を考えれば、より高い音質への対応と、ノイズキャンセリングのサポート、という道筋がある。また課題としてあげていた、自動電源ON/OFF機構の搭載も、個人的に期待したいところだ。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura