「実は、新システムではすぐに精算が行われることもあり、元票がきちんと集まらないことがあるという課題があります。システムに登録すると領収書を貼り付ける台紙がプリントされ、そこに領収書などを貼り付けて後日提出するという方式なのですが、忘れてしまうようです。届くのが遅い時にはアラートメールを送るシステムにしようかと考えつつも、もし電子帳簿保存法対応ができるのなら無駄になるからと待っていたのですが、早急に手をつけた方がよさそうですね」(小和瀬氏)

同氏が特に気にするのは、現場担当者自身がスマートフォンで処理するには、3日以内にタイムスタンプを付加する必要があるという部分だ。

日々の業務に追われる現場にとって、3日間というのはあまりにも短い。当然、間に合わなかったという人も出てくるはずだ。

「海外出張になれば1週間や10日は当たり前です。海外のホテルで日付を確認して撮影して、というのは大変ですし、ミスも多くなりそうです。そもそも出張先によっては、戻ってくる時の日付変更で3日目が消えたというようなこともあり得るのではないでしょうか」と小和瀬氏は課題を指摘する。

現場で処理してよいものと経理部門で処理するものが並行して動く状況は、ミスの多発が考えられる上に、管理的にも難しくなる。しかし現場に出張時も含めて必ず3日以内に作業をするようにと要求するのは、小和瀬氏がいうところの現場に苦労をさせるシステムになる。LIXILの場合は入力レスのシステムができていることもあり、むしろ処理時間は増える可能性も高い。

処理件数が多いだけに電子化の恩恵は大きいLIXILだが、現状は現場の業務がスムーズにまわるのかという不安がある。今後のさらなる規制緩和を期待しながら、新システムの運用を続けると小和瀬氏は語った。