世界一の称号を得たことで、国内外からさらに注目され、出店計画や集客力に弾みがつきそうだ。ただし、注目度という点では、今現在でもかなり高いという。澤田秀雄社長は「米ABCテレビや英BBCテレビなどメディアが取材に訪れている。今でも毎月、世界のメディアから取材依頼が寄せられている」と話す。

だが、メディアが注目するのは、新しさやものめずらしさだ。話題性が薄れてしまえば、見向きされなくなっていく。存在が認知されたことによる一時的な集客効果も薄れていく。集客力の低下はビジネスとしての継続性にとって良いことではない。

その意味で、変なホテルは今はいいが、これ先はどうなるのか、という不安もよぎる。

注目すべきはビジネスモデル

変なホテルで注目したいのは、そのビジネスモデルだ。澤田社長が徹底的にこだわったのは、ホテル経営における非効率な要素の排除である。

「4年前にハウステンボスのホテルヨーロッパに住んで、非効率なところがいっぱいあるなと。人件費、光熱費、建設費の3つを変えれば無駄のないホテルができると考えた。生産性の高いホテルがどうしたらできるのかを考えたらロボットになった」(澤田氏)

特に注目したいのは、人件費だ。変なホテルのオープン当初は、30数人のスタッフで運営していたが、ロボットを次々に導入することで、昨年12月にスタッフは12人に、現在は9人だ。さらに、今後数カ月以内に6人での運営を目指すという。

ロボット台数と従業員数の推移

6人というのは、朝、昼、晩のトータルの時間での1日当たりのスタッフの人数のこと。つまり、実質1人程度での対応になる。これ以上削減するのは無理だろうが、わずかな人数で切り盛りできるのは非常に大きな要素だろう。さらには、太陽子発電を導入して光熱費も削減している。

これらを実践した結果として生まれたのが利益だ。8月には単月利益1億円を達成。さらに人件費を削減できるため、その分が利益として計上される。