ミスタードーナツが新業態として展開する「Mister Donut to go(ミスタードーナツ トゥゴー)」は、“駅ナカ”など人通りの多い場所に出店するテイクアウト専門店だ。ドーナツ文化を日本に根付かせたと胸を張るミスドだが、近年は外資のドーナツ専門店が日本に上陸したり、コンビニエンスストアがドーナツの取り扱いを始めたりと、市場が急速に多様化している。新業態でミスドは存在感を発揮できるのだろうか。

トゥゴーは駅ナカなどに出店する小規模なテイクアウト専門店だ

人通りの多い場所に投資額を抑えて進出

トゥゴーは5~8坪の小型店で、出店場所は駅構内、駅ビル、商業施設といった顧客が立ち寄りやすい場所を想定している。まずは横浜市内に1号店を開店し、今後5年間で200店舗まで増やす計画だ。1号店は11月8日に開業している。

「これまで入り込めなかった場所」。ミスドの新事業方針発表会に登壇したダスキン専務取締役の宮島賢一氏は、トゥゴーが出店を予定する場所をこのように表現する。

発表会に登壇した宮島氏はミスタードーナツ事業本部を担当するダスキンの専務取締役。ちなみに、「いいことあるぞ」というフレーズは約15年ぶりに復活させたという

路面店が多い従来型の店舗は、坪数も大きく、キッチン設備を導入する必要があるなど投資額が大きい。こういった店舗を例えば駅ナカのような場所に展開するのは、投資額と家賃を考えるとリスクが大きかった。

トゥゴーは小規模で、商品は近くの店舗(母店)から運ぶのでキッチン設備も必要ない。この機動力をいかし、ミスドは“空白商圏”と表現する駅ナカなどへの進出を図る。トゥゴー出店の投資額は従来型店舗の3分の1以下で済むという。

ミスドが人通りの多い場所に素早く出店できる新業態を立ち上げる背景には、既存店の改装・移転が進まず、集客力を落としてきた過去から得た教訓があるようだ。