2016年7月15日(以下すべて米国時間、日本は7月16日朝)、MicrosoftはWindows 10 Insider Preview ビルド14390を、Fastリングを選択したPCとモバイルデバイス向けにリリースした。いつもどおりのバグフィックスに加え、Microsoft Edgeの新しい拡張機能「Amazon Assistant」を公開している。筆者は確認していないが、Slowリング向けにはビルド14388が公開されたそうだ。さらに7月18日(日本は7月19日朝)には、Fasリング向けPC/モバイルデバイス向けにビルド14393をリリースしている。

Microsoft Edge新拡張機能「Amazon Assistant」登場だが……

大方の予想どおり新ビルドとなる「14390」が公開された。このままバグフィックスを続けていくだけかと思いきや、このタイミングでMicrosoft Edgeの拡張機能「Amazon Assistant」を公開している。Microsoft WDG(Windows and Devices Group) Software EngineerのDona Sarkar氏の説明によれば、Amazon公式拡張機能として、製品比較やウィッシュリストの操作を可能するものだ。

ビルド14390アップデート直後に出くわした拡張機能周りのトラブル。PCの再起動で改善できた

だが、有効にするまでは少々手間がかかった。Microsoft Edgeを起動して拡張機能のページを開くと、すべての機能拡張が動作していないことが分かる。リロードボタンを押してもそのままだ。メッセージに従って数分放置してみたが症状は変わらず、PCを再起動することで既存の拡張機能は動作するようになったのだが、<ストアから拡張機能を取得する>を押すと起動する「ストア」には何も表示されない。もちろんストア自身を更新しても結果は一緒だ。

30分ほど試行錯誤したところ、ようやくストアにAmazon Assistantが現れたのでインストールしてみたが正常に動作しなかった。また、拡張機能インストール直後に現れるウェルカムページのURLを見ると、アソシエイトタグと思われる文字列が含まれている。この辺りはユーザーによって意見の是非があるため、断言は避けるが、筆者はひとまずアンインストールすることにした。

「Amazon Assistant」をインストールしてみたが、日米の問題なのかAmazon.co.jpでは、エラーが発生した

ちなみに本稿を執筆している最中、久しぶりとなるBSoD(BlueScreen of Death)に出くわした。CRITICAL_PROCESS_DIEDはストレージの破損やメモリー周りの不具合、デバイスドライバーなど多様な理由で発生するBSoDである。現在の自作PCを2016年5月頃に組んでWindows 10 Insider Previewを使い続けてきたが、このエラーは初めてに目にするものだった。Windows 10 Insider Previewの問題なのか、PCのパーツが原因なのか問題の切り分けが難しいが、最近PCの調子が悪い~と感じている方は注意してほしい。

久々のBSoD。筆者の環境でCRITICAL_PROCESS_DIEDが発生するのは初めてである

実のところ本稿は3日間の連休中にビルド14390について執筆済みだったが、日本時間の7月19日朝、ビルド14393がPCおよびモバイル向けとしてリリースしている。日本は休日ながらも米国の月曜は平日だったため、新ビルドのリリースに至ったのだろう。そこで今回はビルド14390およびビルド14393について、PC版の主な改善点と既知の問題を紹介する。

日本時間の7月19日に公開したビルド14393

ビルド14393はモバイル版も合わせて公開している

まずはPC版ビルド14390の改善点。

  • 英語以外の言語で「更新とセキュリティ」の<開発者向け>で<開発者モード>を選択しても、エラーコード「0x80004005」が発生しなくなった。

続いてPC版ビルド14393の改善点。

  • スタートメニュー、Cortana、アクションセンターの信頼性を改善した。
  • iPodがUSB大容量記憶装置デバイスでマウントできるようになった。

モバイル版ビルド14390の改善点はなかったが、ビルド14393では以下の改善が加わっている。

  • Lumia 950 XLのようなデュアルSIM対応デバイスで、ボイスメールメッセージを同期するとバッテリー消費が激しくなる問題を改善した。
  • Lumia 535/640/735/830/930およびIconなど古いデバイスで、バッテリー消費が激しい問題を修正した。
  • ビルド14390で発生していた「ボイスレコーダー」の問題を改善。ストア経由でバージョン10.1607.1931.0のダウンロードを推奨する。
  • デュアルSIM機能に影響を及ぼすいくつかの問題を修正した。

上図のようなメッセージが表示されたらPCを再起動し、関連パッケージのインストールを完了させよう

ここからはPC版ビルド14390の既知の問題を紹介する。

  • Hyper-Vの仮想マシンでセキュアブートを有効にすると、Windows Server 2016 Tech Preview 5が正しく動作しない。その場合は一時的にセキュアブートを無効にすることで回避できる。

次にPC版ビルド14393の既知の問題を紹介する。

  • Surface BookおよびSurface Pro 4の内蔵カメラ用デバイスドライバーが原因でBSoD(BlueScreen of Death)が発生する。この問題はWindows Update経由で修正プログラムを提供する。

ここからはモバイル版14390で確認されている既知の問題を紹介する。

  • 「ボイスレコーダー」の着信記録が正しく動作しない。フォードバックを介して新しいアプリケーションのリリースを予定している。
  • ロック状態から「Wallet」を使って支払う「tap to pay」使用時にPIN入力を2回求められる。
  • OneDriveに格納しているバックアップ形式を変更し、サイズ縮小に努めている。その結果、Windows 10 Insider Previewのバックアップデータを、Windows 10 Mobile ビルド10586に復元すると、スタート画面のレイアウトが復元しないなど正しく動作しない。

最後にモバイル版14393で確認されている既知の問題を紹介する。

  • 特定デバイス上で発生しているWi-Fiの問題を調査中である。
  • Bluetoothをオフにいた際、デバイスがフリーズする問題を確認している。

さらに「Wallet」やバックアップデータに関する既知の問題は、ビルド14393にも引き継がれているようだ。なお、Bluetoothに関するトラブルはこちらのフォーラムで報告されており、「設定」やクイックアクションでBluetoothをオフにするとクラッシュするという。

阿久津良和(Cactus)

前回の記事はこちら
・Windows 10 Insider Previewを試す(第61回) - 粛々とビルドアップを繰り返し、ビルド14388が登場
http://news.mynavi.jp/articles/2016/07/13/windows10/
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【特集】~インストールから設定・活用まで~ すべてが分かるWindows 10大百科
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