2016年7月12日(以下すべて米国時間、日本は7月13日朝)、MicrosoftはWindows 10 Insider Preview ビルド14388を、Fastリングを選択したPCとモバイルデバイス向けにリリースした。Microsoft WDG(Windows and Devices Group) Software EngineerのDona Sarkar氏の説明によれば、本ビルドでは44箇所の新たな修正と機能改善が加わっている。

2～3日ごとに登場する新ビルド

前ビルドとなったビルド14385は7月9日、さらにその前のビルド14383は7月7日と、数日置きに新ビルドのリリースが続いてきた。2016年8月2日まで半月少々という今は、WDGのWindows 10開発チームにとって、最後の追い込みと言うべき時を迎えているのだろう。

さて、いつもどおりPC版およびモバイル版の主な改善点と既知の問題を紹介しよう。まずはPC版の改善点から。

  • 「ストア」のバグを修正して、バージョン11606.1001.39に更新した。
  • PCロックを解除して再サインインすると、デスクトップにおいた「ナレーター」のキーボードショートカットが動作しない問題を修正した。
  • 「ナレーター」が「設定」の＜時刻と言語/日付と時刻＞の設定項目を読み上げない問題を修正した。
  • TPMドライバーが原因でBSoD(BlueScreen of Death)やPCの再起動を招く問題を修正した。

次はモバイル版の改善点を紹介する。

  • 「ストア」のバグを修正して、バージョン11606.1001.39に更新した。
  • Microsoft EdgeのInPrivateモード使用時にキーボードが現れない問題を修正した。
  • デバイスを再起動するまで起動できないアプリケーションがあり、正しく動作しない問題を修正した。

ここからはPC版の既知の問題を紹介する。

  • Hyper-Vの仮想マシンでセキュアブートが有効にし、Windows Server 2016 Tech Preview 5が正しく動作しない。その場合は一時的にセキュアブートを無効にすることで回避可能だ。
  • 英語以外の言語で「更新とセキュリティ」の＜開発者向け＞で＜開発者モード＞を選択している場合、エラーコード「0x80004005」が発生するが、Visual Studioなど開発ツールはそのまま使用できる。

Visual Studioまたは Windowsデバイスポータルのデバッグ機能を有効にすると発生する問題だがこちらを改善するには、「設定」の「システム」から＜アプリと機能＞を開き、＜オプション機能の管理＞をクリックする。続いて、＜機能の追加＞をクリックし、＜Windows開発者モード＞→＜インストール＞ボタンと順にクリック。その後、コマンドプロンプトを管理者権限で起動し、「sc config debugregsvc start=auto」を実行する。＜開発者向け＞を開くと、以前と変わらず同じエラーコードが表示されるが、Windowsデバイスポータルおよびデバイスの発見機能は正しく動作する仕組みだ。なお、前回の記事では図版を含めて解説しているので、合わせて参照してほしい。

最後にモバイル版で確認されている既知の問題を紹介する。

  • 「ボイスレコーダー」の通話記録が正しく動作しない。
  • ロック状態から「Wallet」を使って支払う時、PINを2回求められる。
  • OneDriveに格納しているバックアップ形式を変更し、サイズ縮小に努めている。その結果、Windows 10 Insider Previewのバックアップデータを、Windows 10 Mobile ビルド10586に復元すると、スタート画面のレイアウトが復元しないなど正しく動作しない。

このようにPC版は「ナレーター」周り、モバイル版は前ビルドで明確になったMicrosoft Edgeにおけるキーボードの問題は、即座に修正されている。だが、Hyper-Vの仮想マシン上でWindows Server 2016 Technical Preview 5が動作しない問題や、OneDrive上に作成したバックアップデータに起因する問題はいまだ解決していない。また、フィードバックから得たのかモバイル版には新たな問題も加わった。

Redstone 1(開発コード名)を最初から使い続けた筆者の感想としては、OS自体は安定感を供えるようになりつつも、OneDriveクライアントを再起動しないと正しく動作しないなど、"Windows 10"周りの不安定さが目に付くのだ。Windows 10 Anniversary UpdateはPCやモバイル以外にも、Xbox OneやWindows 10 IoT、Microsoft Hololensなどにも展開するという。据え置き型ゲーム機や組み込みOSも含まれるだけに、堅牢(けんろう)性は今まで以上に重要なポイントだ。

Anniversary Updateリリースまで残すところ2週間強。開発陣の能力が試される。

阿久津良和(Cactus)

■前回の記事はこちら
・Windows 10 Insider Previewを試す(第60回) - 順調なバグフィックスが顕著なビルド14385登場
http://news.mynavi.jp/articles/2016/07/11/windows10/
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【特集】～インストールから設定・活用まで～ すべてが分かるWindows 10大百科
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