鹿児島県・長島町 井上貴至 副町長

現在、このNセンターに賛同し導入を予定しているのは、鹿児島県・長島町、群馬県・南牧村、佐賀県・武雄市(予定)の3自治体。

発表会に登壇した鹿児島県・長島町の井上貴至 副町長は、「10年前に町で唯一の高等学校が廃校になりました。長島町は消滅可能性自治体のひとつに数えられています」とその危機を訴える。そのうえで「卒業後に町に戻れば返還不要の『ブリ奨学金』(※)や全国の大学生による子ども向け自習塾『獅子島の子落とし塾』といった施策を行ってきました。Nセンターはそれらに続く“第三の施策”と捉えています」と期待を打ち明ける。

※ブリは長島町の特産品。回遊する出世魚であることと、Uターンする若者のイメージを重ねている

長島町のNセンターは、今年7月に役場の一部に設置されるという。これだけ素早い対応は、いかに早く若者を受け容れたいか……町の危機感の表れともいえよう。

なお、ドワンゴ広報によれば、この3市町村に限らずNセンターを開く自治体を増やす予定だ。そして、Nセンター設置自治体数に上限を設けないとした。

そもそもN高は、以前から地方自治体との連携を視野に入れていた。同校は“ネットで完結する学習”という以外に多彩な課外授業が特徴といえる。カドカワが得意とする「文芸小説創作授業」、ドワンゴが領域とする「プログラミング授業」、グループのバンタンが本業とするファッションやデザインの「クリエイティブ授業」といった具合だ。

そうした課外授業のひとつに、地方自治体と連携した「職業体験」が挙げられていた。今回の地方創生への取り組みは、その職業体験をより一層深掘りしたものといえる。事実、前出の大井川氏は「Nセンターでは職業体験、グループワーク、キャリア学習に取り組んでいく」と強調する。