軽妙なトークで講演を盛り上げた石破茂 国務大臣

「小中一貫の教育を受けてきましたが、県立高校だけは行きたくありませんでした。当時、私の父親は鳥取県知事。『お前の息子、できが悪いぞ』なんて県立高校の先生が県知事を呼びつけるのには相当な勇気が必要になるからです」。「カドカワ 地方創生と教育に関する発表会&カンファレンス」の基調講演に立った石破茂 国務大臣は、軽妙なトークで会場に大爆笑を誘った。

大臣は、「防衛や外交、農林水産に力を入れてきましたが、教育だけには携わりたくなかったです」と自身で語る。それを裏付けるかのように「石破先生が教育について話しているのを初めてみました(笑)」と、同カンファレンスでパネルディスカッションに参加した平将明 衆議院議員は笑みをこぼした。

石破大臣が教育について語るという希少性はさておき、そもそも現役大臣が1社単独開催のカンファレンスで基調講演を行うこと自体が異例だ。

それには切実な理由がある。石破大臣も平議員も、地方創生 国家戦略特区を担当する。この地方創生の領分において、教育は切っても切れないテーマだからだ。

地方自治体の1/4で高等学校が消失

現在、日本には1,740の地方自治体があり、その約1/4の市町村で高等学校がない状態だという。これは、少子高齢化による教育世代の減少で、高校の統廃合が進んだ結果だ。高校がなくなってしまった自治体では、教育を求める子育て世代が離れてしまうことが容易に考えられる。人口減少が教育格差を生み、その教育格差がさらなる人口減少を促すという悪循環となっている。子育て世代=働き盛りが地方から都市部へ移住してしまっては、地方創生なんてままならない。地方創生を担当する大臣として、見過ごせなかったのだろう。