続いて、自動で商品のサイズに合わせた段ボールを作製する機械「ボックスオンデマンド」を見学した。ボックスオンデマンドのメリットとして、作業時間の短縮や緩衝材削減、梱包作業の単純化、輸送効率の向上が見込めるとしている。

「ボックスオンデマンド」

オペレーションの流れは、バーコードリーダーで商品バーコードをスキャンするとシステムにオーダーが届き、商品のサイズに合わせた段ボールに裁断される。その後、のりしろ部分をのり付けし、組み立てれば製品のサイズに合った段ボールが作製できる。

1.システムにオーダーが届く

2.商品サイズに合わせた段ボールに裁断

3.のり付け機

4.完成

ボックスオンデマンドはさまざまな段ボールが作製でき、コストは従来と比較した場合、約30~60%の削減が図れるという。これまで梱包が難しかった商品を同機械を使うことで解消し、効率的かつ安定的な梱包につなげ、これからも同機械の活用の場を広げていく方針だという。

ニトリホールディングス 代表取締役社長の白井俊之氏

ニトリホールディングス 代表取締役社長の白井俊之氏は現在の物流業界について「われわれが扱う商品の特性上、全体に占める物流のウェイトは大きく、昨今の人手不足やトラックなどの車両不足は深刻な状況だ」と警鐘を鳴らす。

そのうえで、ロボット倉庫の導入にあたり「ヨーロッパの物流拠点を視察したが、効率化のみならず重たいものを持たないなど労働環境についても配慮されていると感じ、われわれとしても効率化と労働環境の配慮、これら2つをテーマに考えた。現在、都心型店舗の出店やECサイトにおける商品の需要が増加しており、結果的に売り上げの伸び以上に物流の伸びが大きくなっている。そのため、物流を安定的かつリードタイムを短縮し、コスト低減を図りながら実現していくことは長期的な観点からも重要な課題だ」と指摘した。

ホームロジスティクス 代表取締役の松浦学氏

ホームロジスティクス 代表取締役の松浦学氏は「2016年のニトリグループにおける商品配送件数は610万件の見通しとなっており、2022年には2015年比で2倍となることが想定されているほか、オムニチャネルなどのサービスの展開が加速していくだろう。また、曜日別配送格差は最大2.5倍となっており、受注量の大きな変動は低生産性の要因だ。そして、少子高齢化に伴い将来的に労働人口の減少が見込まれているが、われわれが着眼しているのは労働時間の減少だ。そのため、新技術の積極投入による生産性の向上を図ることを目的にAutoStoreやボックスオンデマンドを導入した」と説明した。

白井氏(右)と松浦氏

将来的にニトリグループでは、新設を計画中の物流倉庫や既存の物流倉庫へロボット倉庫の導入を検討しており、グループの商品だけでなく、他社商品の取り扱いも想定しているという。最後に白井氏は、商品のパッケージや重量など物流の問題を物流の分野だけで解決するのではなく、商品開発の段階から考え、生産コスト、物流コストだけでなく、すべてのコストを鑑みたうえで顧客に対して、最適な形で商品を提供する仕組みを構築していかなければならないと述べており、今後も同社の物流を含めた改革に期待がかかる。