まとめと作例:体力的余裕があれば十分に価値あり

いちばんの考えどころは、「標準」と呼ぶのに気後れしてしまうほどの大きさと重さだろう。また、縦位置での三脚撮影時にレンズの重さのせいでごくわずかずつだが、フレーミングが自然とズレていく現象が発生した。このレンズを使いこなすには、それ相応の三脚も用意したいところだ。

とはいえ、使用頻度の高い画角域をF2.8の明るさでカバーできるメリットは無視できないし、画質の向上やVR機構の搭載も見逃せない。非力な筆者にとって、2kgを超える機材で撮影するのは正直いって少ししんどかったが、レンズの持つ「撮る力」を楽しみながら撮影できた。このレンズを振り回せる体力的余裕があるなら(もちろん金銭的余裕も)、選ぶ価値のある一本だといえる。

バストアップぐらいの撮影距離で撮ったカット。背景は落ち葉が積もった斜面だが、あまりざわざわした感じにはなっていない

被写界深度が欲しくてF16まで絞っている。回折現象の影響は出ているはずだが、この程度なら許容範囲だろう

色づいたイチョウの葉の一枚一枚、鈴なりのギンナンの一粒一粒がくっきりと解像している。有効3,635万画素の画像をピクセル等倍で見てこのシャープさはすごい

あまり距離差のない背景をそれなりにボカせるところは大口径ズームならでは