ニコン「D750」は、2014年9月に登場したフルサイズセンサー搭載(ニコンFXフォーマット)のデジタル一眼レフカメラだ。同社のラインアップ中では、フルサイズ入門機「D610」のひとつ上のクラスとなり、比較的小さなボディに高機能を凝縮。趣味として写真撮影を楽しむ人に強くアピールする製品に仕上がっている。今回は人気モデルD750の実写レビューを、D610との比較を交えながらお伝えしよう。

「ニコンD750 24-120 VRレンズキット」。2015年1月8日時点の実勢価格は税込300,000円前後。ボディ単体では税込220,000円前後

炭素繊維複合素材を用いたモノコック構造のボディ

D750の実機を手にしてまず感じるのは、D610に比べてボディが薄く軽くなっていること。スペック上は幅と厚みがわずかに縮小し、本体重量が10g軽量化したにすぎないが、グリップ部の凹凸がより深くなり、ボディのベース部分がいっそうスリムになったことで、感覚的にはひと回り小型軽量化した印象を受ける。

外装は上面と背面のカバーにマグネシウムを、前面のカバーに炭素繊維複合材をそれぞれ採用する。その上で全体をモノコック構造にし、基板や部品のレイアウトを一新することで、小型軽量と高剛性の両立を図っている。

ファインダーはガラス製ペンタプリズムで、視野率は100%、倍率は約0.7倍に対応。ファインダー像は明るく、広さも十分だ。クリアな実像を見ながら撮影できる一眼レフならではのメリットを再確認できた。

一方、液晶モニターには約122.9万ドットの3.2型低温ポリシリコンTFTを搭載する。同社のフルサイズ一眼レフでは初となるチルト可動式で、可動の角度は上に最大90度、下に最大75度に対応する。視認性は十分で、屋外でも特に不都合は感じない。

左手前がD750。丸みを帯びたシルエットラインは右奥のD610と似ているが、各部にはさまざまな改良が施されている

外見上の最も大きな違いは、D750はチルト可動式の液晶モニターを搭載したこと

D750(左)は、ボディを薄型化しつつも、グリップを深く握れるようにしたことでホールド感がいっそうよくなっている

D750(左)は、撮影モードにスペシャルエフェクトモードを追加。また、同社のフルサイズ機では初めてWi-Fi機能を内蔵した

天面の液晶パネルは、D610(右)に比べると小さくなり、WBや画質モードは非表示になった。その代わり、初期設定の状態でISO感度が表示される

基本的な操作系は同じだが、D750(左)では背面左下にアイボタンを追加するなど、細かい部分に変更が見られる

液晶モニターは3軸ヒンジ構造のチルト式。いったん引き出してから上下に回転させる。三脚にセットした場合でも使用可能だ

上に向けることで、ローアングル撮影やマクロ撮影が快適に行える。ただし左右には可動しないため、縦位置撮影時には役立たない