待ち遠しいネイティブアプリ解禁

Apple Watchを使ったソリューションも徐々に登場しつつはあるが、その開発において独自の苦労などはないのか、テクニカル・ユニオンの戸倉正貴社長に、Apple Watch向けアプリ開発についてお話を伺った。

BTimeのApple Watch対応版は、5月13日~15日に開催された第5回スマートフォン&モバイルEXPOで初めて展示したもの。取材時点で発表から約半月しか経っていないこともあり、まだ導入事例はないとのことだったが、TimeMate自体に対するものも含めて、多数の問い合わせを受けるなど、反響は大きいとのこと。

テクニカル・ユニオンの戸倉正貴社長。TimeMate以外にも、物流業界向けのスケジュール管理システムなど、同社が販売するシステムでのApple Watch対応についても様々な可能性を話していただいた

戸倉社長によると、iPhoneなどのモバイル機器や、Apple Watchなどのウェアラブル機器といったものは、現場よりも管理者、経営者が使うべきではないかという。たとえばスーパーマーケットでは、部門ごとの売れ行きを分刻みでチェックして、売れ行きの悪い部門でタイムセールを実施するよう指示を出すなど、リアルタイムでの管理が必要になる。移動中など、いちいちノートPCなどを広げて操作する余裕があるとは限らない。モバイル機器でも管理しやすいよう工夫したシステムやアプリを使えば、もっと自由度が増し、効率的に経営できるというわけだ。

また、書類の承認なども、いちいちパソコンでひとつひとつ選択して承認……とやるのではなく、簡単なものであれば、モバイル機器でざっと確認して承認ボタンを押せば済む話だ。スマートフォンを使ったアプリやソリューションというと、現場目線のものばかりが表に出てくるが、確かに管理職以上に割り当てたほうが適切かもしれない(管理職当人のリテラシーという問題はあるが)。

Apple Watchに求めるものとしては、ネイティブアプリの解放が挙がった。現状ではアプリからセンサー類へのアクセスが制限されており、Apple Watchならではの機能を使ったアプリ開発ができないという。たとえばApple Watch自体はBluetoothやNFCといった機能を搭載しているものの、それらがアプリから利用できないため、BTimeのApple Watch版もああいった仕様になったという。

また、現在はiPhoneのコンパニオン機器として通信機能をiPhoneに依存しているが、第2世代、第3世代になってバッテリー問題などが解決すれば、単独で通信機能を持つようになると予想。その上で、モバイル/ウェアラブルならではの機動性を生かしたアプリを作ってみたいと語ってくれた。

噂レベルではあるが、アップルは「WWDC 2015」で、Watch OSの次期バージョンを公開し、そこではネイティブアプリの動作も一部解禁される可能性があるという。これが現実になれば、ビーコンと直接やり取りできたり、加速度センサーを使ってジェスチャーでコマンドを処理するなど、さまざまなアプリの登場が期待できる。TimeMate+BTimeの組み合わせもさらにパワーアップが見込めそうだ。

現時点で、アップルはApple Watchに関して、ファッション性を重視し一般ユーザー向けの印象を強くアピールしているが、今回の取材を通じて、面倒な操作を省いて使えるという特徴は、産業界でも相性がよさそうに感じられた。今後もApple Watchはファッション路線で攻めるのかもしれないが、今後はこういった業界にもマッチするタフな端末の登場を期待したい。