Project Fiが日本で実現する可能性は?
Project Fiと同様に、モバイルの進化を後押しするプロジェクトだったNexusは日本市場にも拡大された。では、Project Fiも日本に広がるだろうか?
米国に比べると、日本は3大キャリアの競争が健全でサービスの質・料金ともに改善努力がなされている。Googleが無理に第4の勢力を作る必要はない。Fi番号を日本でも広めたいだろうが、Fi番号のベースになっていると思われるGoogle Voiceのフルサービスすら日本では実現していない。メッセンジャーアプリにコミュニケーションの軸足がさらに移動するのを警戒する日本のキャリアと対立してまで、Googleが日本をFi番号のモデル市場にする可能性は低い。
ただし、SIMロックフリーにせよ、MVNOにせよ、世界が変わるとなったら日本も変化をいとわなかった。しかも、変化の加速が速いから出遅れても、普及フェーズでアッという間に米国を追い抜いたりする。
米国では早くもモバイルWi-Fiルーターを開発するスタートアップKarmaが、Googleが実現した複数の通信キャリアのネットワークをシームレスに切り換える接続に関心を示している。電話番号のコミュニケーションをクラウドで処理する仕組みに興味を持ったスタートアップも多いだろう(そもそもGoogle VoiceはスタートアップGrandCentralの技術だった)。しばらくProject Fiはスタートアップを刺激する存在であり続けるだろうが、そうして電話をより便利にする試みが積み重ねられるうちに、従来の電話に縛られたコミュニケーションを人々が不便に思うようになるだろう。そうなったら、将来VerizonやAT&TもFi番号の使用を認めるかもしれない。それは容易なことではないし、時間もかかると思うが、米国のモバイル市場が変わり始めたら、日本も変化に踏み出すはずである。