NTTドコモは25日、電動車椅子「WHILL (ウィル)」、電動歩行アシストカート「ロボットアシストウォーカーRT.1」、立ち踏み式の電動自転車「ウォーキングバイシクル」といったユニークな“パーソナルモビリティ”と連携したレンタルサービスの実用化に取り組んでいくと発表した。本稿では同日、記者説明会の様子をレポートする。

ドコモでは、電動車椅子、立ち踏み式電動自転車などのレンタル事業を開始する

なぜドコモがレンタサイクルを?

記者説明会の冒頭、ドコモ 取締役常務執行役員の中山俊樹氏が登壇して概要を説明した。同社では現在、自転車とモバイルとの融合による“スマートシェアリング事業”を進めている。中山氏は「なぜドコモがレンタサイクルをやるのか、とよく言われる。実はレンタサイクルはモバイルと親和性が高い。自転車の中には通信モジュールが3つ入っており、弊社ではそれをパッケージにしてサービスを展開している。これはIoT(モノのインターネット化)そのものである」と説明。

ドコモのレンタサイクルでは、GPSなどの通信モジュールを利用して利用者の認証、課金、位置の確認などを行っている。また、置き場所もビーコンにより省スペースで済む。こうした管理システムにより、従来比で格段に安く、効率的なレンタサイクル事業を運用できるという。最近では行政にも理解が広がっているようで、中山氏は「エコな交通システムとして、東京の都市開発にも貢献できているのではないか」と胸を張った。

登壇するドコモ 取締役常務執行役員の中山俊樹氏(写真左)。ドコモでは現在、全国6市区域でレンタサイクル事業を展開、合計1,455台の自転車を運用している

レンタサイクル事業にも通信モジュールを最大限に活用している(写真左)。今年2月にはサイクルシェアリング事業を行う合弁会社「ドコモ・バイクシェア」を設立した(写真右)

「レンタサイクル事業に3年間取り組んできて、採算にも目処が立った」と中山氏。こうしたレンタサイクル事業で培ったノウハウを、モビリティシェア構想にも活かしていく方針だ。2015年現在、パーソナルモビリティ市場は600億円規模だが、2020年には1,500億円規模になると試算。さらに2020年の東京オリンピックや、高齢化社会の到来、国民の健康意識の高まり、運動器障害(ロコモティブシンドローム)の社会問題化なども事業の追い風となっているという。

パーソナルモビリティ市場について、2020年には1,500億円規模になると試算している