NTT東西が光回線を卸売りする「光コラボレーションモデル」を採用した光回線サービスが話題となっている。同モデルの仕組みについては、マイナビニュースの別稿でも詳しく解説しているが、インターネットサービスプロバイダ(ISP)や携帯キャリアなどの事業者が自社ブランドで光回線サービスを提供し、自社の他のサービスと組み合わせてパッケージ化できることなどがメリットとなっている。
光コラボレーションモデルで特に注目すべきは、格安SIMサービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)各社が参入し、格安SIMと光回線との"セット割"の提供を開始したことだ。スマートフォンの料金を節約できる格安SIMに、光回線を組み合わせることで、固定回線の料金まで節約して、家庭で利用する固定・携帯の通信料金を大幅に削減することが可能になる。
そこで本稿では、2月1日より光回線と格安SIMのセット割をいち早く提供開始したU-NEXTの「U-NEXT光&スマホコラボレーション」について紹介しながら、主要キャリアの光回線・スマホのセット割との比較を行ってみたい。
現状のスマホ利用料で光回線&スマホが使える!?
格安SIMサービスの「U-mobile」やビデオ配信サービス「U-NEXT」などを提供するU-NEXTが、2月1日より提供開始した光回線サービスが「U-NEXT光」だ。同サービスは、NTT東西の光コラボレーションモデルを採用したもので、「フレッツ光」の速度・品質はそのままに低価格で提供されるのが特長だ。
U-NEXT光の月額料金は、2年契約による割引を適用した場合、戸建て向けが月額4,200円(以下、金額は税抜)、マンション向けが月額3,180円。同社が提供するISP「U-Pa!(ウーパ)」のプロバイダ料金を含めても、戸建て向けが月額4,980円、マンション向けが月額3,910円となり、従来のフレッツ光の一般的な料金と比べて、毎月1,000円程度安くなっている。
また、同サービスで特筆すべきは、光回線と格安SIMをパッケージ化した「U-NEXT光&スマホコラボレーション」だ。光回線とセット加入することで、U-mobileのダブルフィックス/1GB/3GB/LTE使い放題の各プランに応じて、最大500円の割引が適用される。たとえば、音声通話付きのLTE使い放題プランの場合、戸建て向けの光回線を含めた月額料金は6,680円(別途プロバイダ料金)。現在、スマートフォンの利用料金が毎月7,000円程度のユーザーであれば、その金額でスマートフォンと固定回線の両方を賄える計算だ。
さらに、ファミリー向けとして、さらにお得な「スーパーファミリーバリュー」というパッケージも提供される。同パッケージは、光回線とLTE使い放題プランの複数回線を組み合わせたもので、最大5回線のSIMをセットにできる。
たとえば、戸建て向け光回線では、SIM2回線とのセットが月額9,000円、SIM3回線とのセットが月額11,000円。また、マンション向け光回線の場合、さらに1,000円安く、SIM2回線とのセットが月額8,000円、SIM3回線とのセットが月額10,000円となる(いずれもプロバイダ料金は別)。家族全体の固定・携帯の通信料金を1万円程度に抑えることができ、かなり節約することが可能だ。
U-NEXTと主要キャリアの光回線・スマホのセット割を比較!
それでは、「U-NEXT光&スマホコラボレーション」がどのくらい安いのかを、主要キャリアが提供する光回線・スマホのセット割と比較して確認してみよう。なお、主要キャリアでは、NTTドコモとソフトバンクが「光コラボレーション」に参入し、自社ブランドの光回線サービスとスマートフォン・携帯電話のセット割である「ドコモ光パック」「スマート値引き」をそれぞれ3月1日より提供する。また、KDDIは独自の光回線サービス「auひかり」などの固定通信サービスと、スマートフォン・携帯電話をセットにして割引く「auスマートバリュー」を以前より提供している。
今回は、光回線と家族4人分のスマートフォン回線をセットで契約した場合の各社の合計月額料金を比較してみた。なお、光回線は2年契約の戸建向けを選択したほか、各社のスマートフォンのプランは、1人あたり月間5GB程度のデータ通信量を利用することを想定して選択し、月額料金をシミュレーションした。
ドコモでは月間20GBプランを選択して4人でシェアした場合で、KDDIとソフトバンクでは各人が月間5GBプランを選択した場合で、それぞれ計算を行っているが、主要3キャリアの固定・携帯の合計月額料金はいずれも3万円以上となっている。一方、U-NEXTでは、LTE使い放題プランの「スーパーファミリーバリュー」の4回線を選択しているが、合計月額料金は13,780円と、キャリアの半額以下となった。U-NEXTの光回線・スマホのセット割がいかに割安なのかがお分かりいただけるだろう。
また、キャリアのプランでは、1人あたり月間5GB、4人で月間20GBといったデータ通信量の上限が定められており、超過すると通信速度が制限される。しかし、U-NEXTのLTE使い放題プランでは、データ通信量の上限がないため、通信速度が制限されることなく、快適に利用できることが特長。たとえ、データ通信量を使い過ぎてしまった月でも安心だ。
なお、U-NEXTの音声通話付きLTE使い放題プランでは、音声通話は定額ではなく従量制で、通話発信することに20円/30秒の通話料がかかる。ただし、同サービス専用の通話アプリ「U-CALL」が提供されており、同アプリから通話発信すれば、通話料を半額の10円/30秒(不課税)にすることが可能だ。この通話料を考慮した場合でも、よほど頻繁に通話しない限り、キャリアの光回線・スマホのセット割の半額程度に抑えることができ、家庭の通信料金をかなり節約できると言える。
フレッツ光ユーザーなら"転用"で簡単に乗り換えできる
ちなみに、U-NEXT光をはじめとする光コラボレーションモデルを採用した光回線サービスは、現在すでにフレッツ光を利用しているユーザーであれば、"転用"という手続きにより簡単に乗り換えできる。転用は契約形態を変更するだけの手続きとなり、工事が不要なのが特長だ。
具体的な手続きの流れは、U-NEXTのWebサイトでも紹介されているが、まずフレッツ光を契約しているNTT東日本または西日本に問い合わせて"転用承諾番号"を取得し、U-NEXTのWebサイトまたはフリーダイヤルの電話から申し込みを行える。
なお、現在フレッツ光を利用していないユーザーは新規契約となり、U-NEXTへの申し込み後、自宅の光回線工事を行うことでインターネットの利用が可能になる。
また、U-NEXTでは、4月30日までの期間限定でキャンペーンを実施中だ。Webサイト経由でスーパーファミリーバリューに申し込んだ場合、U-mobileの新規契約の事務手数料3,000円のほか、転用の事務手数料2,000円または新規契約の光回線工事費24,000円がいずれも無料になるキャンペーンとなっており、初期費用をかけずにU-NEXT光の利用を開始することができる。
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本稿では、U-NEXTが提供する「U-NEXT光&スマホコラボレーション」を例として、MVNOとキャリアのセット割を比較してきた。
NTTドコモとソフトバンクが光コラボに参入したことで、主要3キャリアの固定・携帯のセット割が出揃ったが、月額料金の総額では3社にそれほど大きな違いはない。しかし、U-NEXTをはじめとするMVNOのセット割を利用すれば、固定・携帯の通信料金を大幅に節約することができそうだ。
U-NEXT光&スマホコラボレーションなどを参考にしながら、この機会に自宅の固定回線だけでなく、家族1人ひとりが使っているスマートフォンもあわせて、家庭の通信料金を見直してみてはいかがだろうか。