新生VAIOが投げ込んだ渾身の一球

振り返ってみれば、アップルのMacBookシリーズも歴代を通じて、デザインの変化はそれほど見られない。だが、製品としての進化は着実だ。

実際、VAIO ZとVAIO Fit 13Aでは使っている材料や部品はまったく異なる。スケルトンモデルを見ると、VAIO Fit 13Aに比べて3分の2となった基板、基板上に張り巡らされた超薄型のヒートパイプ、そして整然とレイアウトされたバッテリなど、本体内の構造はまったく異なる。外観の見た目の同一性とは異なり、別物ともいえる構造になっているのだ。

VAIO Zのスケルトンモデル。底面の中央やや右より、ヒートパイプが重なっている部分にCPUが配置されている

先に触れた「パフッ」という閉まり方もVAIO Zだからこそ、初めて実現したものである。ここにVAIO Zならではの特徴があるといっていい。

「まずは、我々がターゲットとするユーザーの方々に買っていただき、満足してもらいたいと考えている。そして、この製品によって、PCの本質を追求するVAIOという会社のイメージを作りたい」と黒崎氏は語る。

そして、鈴木氏は、「VAIOがソニーから独立し、多くの方々に心配をおかけした。だが、この製品を見て、VAIOのエンジニアや生産拠点、そして、VAIO Zがここに残っているということをわかってもらいたい。VAIOに期待している人たちを安心させたい」とする。

VAIO Zは、新生VAIOが投げ込んだ渾身の一球であることは間違いない。そのVAIO Zが、これから市場にどんな影響を及ぼすのか。そして、ユーザーからの反応はどうなるのか。その進捗に注目したい。