ソニー時代のVAIO Zと何が違うのか

では、ソニー時代のVAIO Zと、VAIO株式会社が投入するVAIO Zは、なにが変わらず、なにが変わるのか。

黒崎氏は、「最高峰のPCを目指すという基本的な思想は変わらない」とする一方で、「変わった部分があるとすれば、これまで以上にカタログを見ただけでWOW!といってもらえること、そして、買ったあとの満足感についても徹底的に追求した点」だとする。

購入後の満足感という点では、質感や剛性感にこだわり、これまでにない品位を実現したと自信をみせる。

「高級車のドアが絶妙な音で閉まるように、VAIO Zでは、PCを閉じた時に、パフッといった音がして閉まるようにした。これは、ヒンジの角度とトルクの調整、磁石を採用することで実現したもの。また、PCを閉じたまま小脇に抱えて持つと、多くのPCが、微妙に隙間が開いてしまうことが多いが、VAIO Zではそれがない設計および生産を行っている。こうした細かいところにもこだわることで品位を実現している」という。

PCを閉じた際の「パフッ」という音にもこだわったと語る黒崎氏

薄さと軽さ、そして質感を実現するために、本体にはアルミニウムとカーボンを使用。キーボードの桟をアルミ化し、パーム部と一体化。カーボンの繊維方向とアルミ裏面の補強リブの最適化により、堅牢性も実現した。

黒崎氏によると「PCの角を持ち上げるといった使い方をしても、不安を感じさせない堅牢性とした。手が触れる場所に配置されたアルミは、表面を研磨して微細に凹凸を作り、手にしっくりとくる心地よい感触を実現している」という。そして、品位という点では、キーボードの打鍵感や音にも配慮しているという。

VAIO Zのキーボード面

そして、黒崎氏はこうも語る。「最も大きな違いは、VAIO株式会社全体の方向性を背負っているという点である。VAIO Zこそが、VAIO株式会社そのものである」。

ソニー時代は、PC事業におけるフラッグシップ製品という位置づけであったが、VAIO株式会社のVAIO Zは、会社全体の方向性を明確に打ち出す役割を担う製品である点が大きく異なる。この製品が背負う「重さ」は、これまでとはまったく違うというわけだ。

「本当は、製品名にはZをつけずに、VAIOという名前だけで行きたいと考えたほどの製品。それだけの『重さ』を持っている」と黒崎氏は語る。