中価格帯スマホの王者MediaTeK

台湾のメディアテックは、ミドルレンジ向けスマートフォンの心臓部によく使われているSoCメーカーだ。SoCメーカーといっても工場を持たないファブレス企業で、自社ではSoCの設計のみ行い、SoCに搭載する各機能(IP)はライセンスを受け、製造は他社に委託している。このため他社と差別化するための特別な機能は持たないが、たとえばコア数などは他社よりも早く多コアモデルを導入するなど、積極的に最新世代の特徴を打ち出してくる傾向がある。

同社のプロセッサ「MT」シリーズは「MT+数字4桁」という大変わかりにくいネーミングだが、新興国向けのミドルレンジ機種に多く採用されており、急速にシェアを拡大している。日本でもSIMフリー端末や、MVNOキャリアが提供する低価格モデルに多く採用されている。今後、スマートフォン市場はミドルレンジからローエンド市場を中心に拡大すると見られており、今後のキープレーヤーとして注目が集まるところだ。

このほか、ソニーのAndroid TVに採用された「MT5595」や、Android Wear採用ウェアラブルデバイス向けのSoC「MT2601」も登場しており、今後はウェアラブルデバイスや家電市場でも影響力を増してくるだろう。

中国系SoCの雄、HiSilicon

中国・広東省深センに本社を置くHiSiliconは日本ではまだマイナーなメーカーだが、もともと通信機器大手の中国・ファーウェイのASICデザインセンターが独立法人になったもので、ASIC設計に特化している。HiSiliconのモバイル向けSoCとしては「K3」や「Kirin」があり、「K3」シリーズはイー・アクセスやドコモのファーウェイ製端末に採用されたことがある(K3V2)。

HiSiliconの強みは、親会社のファーウェイと共同することで、通信関連の新技術にいち早く対応し、認証等にも優位に動けることだ。事実、LTEカテゴリー4対応のモデムについては、ファーウェイの全面協力を受けて、クアルコムを上回る早さで対応製品を投入した。キャリアアグリゲーション(CA)やVoLTEなどについても同様に、素早く対応製品を投入している。この開発速度の速さは驚異的で、今後の展開次第では、クアルコムの牙城を脅かすものになるかもしれない。

どちらかといえばローエンド志向の強い中国製SoCの中で、HiSiliconはミドルレンジ~ハイエンドを視野に入れた製品作りが特徴的だ。ファーウェイというグローバルネットワーク企業を親会社に持つことで、それなりの数量を販売できるメドが立つのも優位に立っているのだろう。