スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですからスペック表を見ると、専門用語のオンパレード……おいそれと比較はできません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。初回は「CPU」についてです。

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CPU(セントラルプロセッシングユニット)は、スマートフォンにとっての「頭脳」であり「エンジン」です。単に「プロセッサ」とも呼ばれ、スマートフォン内部でさまざまな処理を行うための中心的な役割を担います。CPUが動作しなければ、システムソフトウェアもゲームなどのアプリも実行することができません。「Snapdragon S4」や「Apple A6」など、採用されるCPUはスマートフォンによってさまざまです。 CPUは頭脳ですから、その性能はスマートフォンのシステム全体に大きく影響します。処理性能は速いほどよく、違いはアプリの実行速度や反応(レスポンス)に現れます。CPUの違いにより基準が異なるため一律にはいえませんが、処理性能はCPUの「クロック周波数」として現れ、この値が大きいほうが高性能です。クロック周波数は、CPUの名称/型番のあとに「○.○GHz(ギガヘルツ)」の形式で表記されます。

「コア」の数も重要です。コアはCPUの中核部分で、独立した頭脳として動作します。もともとCPUは1基・1コアが一般的でしたが、クロック周波数を高めると処理性能が向上する反面、消費電力と発熱量の増大が悩みのタネでした。複数のコア(メニーコア)を搭載したCPUは、複数の頭脳に処理を分散し並行して進めることで、クロック周波数を高める以外の方法により高速化を目指しているのです。

なお、コアが2つ(デュアルコア)、4つ(クアッドコア)とコア数は多いほうが有利ですが、その数に比例して処理速度が向上するわけではありません。メニーコアCPUをうまく使いこなす仕組みがソフトウェア(OS)側に要求されるうえ、複雑な処理を行うアプリでなければ効果が現れにくいという事情もあります。

まとめると、CPUの性能を知るにはまず「型番(モデル名)」ですが、それだけでは事前知識なしに性能を知ることが難しいため、クロック周波数に注目します。そしてコアの数を見れば、CPUがどの程度の性能かおよその見当がつきます。猛スピードで技術革新が行われている分野ですから、発売時期が新しいほど高性能、という単純な法則も成り立ちます。あわせて参考にしましょう。

写真で解説

Apple A6チップ。スマートフォンの頭脳「CPU」の性能が、端末の"サクサク感"やアプリの"動作の滑らかさ"を生み出します